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嘘つき_9
ふと、微睡む意識から目を覚ました。
見慣れた天井が見えて、もう一度目を閉じようとした瞬間、ものの動く気配を感じて目を見開く。
視線を天井から下へとゆっくり移すと、ベッドの脇に伏せるようにして眠っている周藤の姿があった。
「――っ!?」
思わず声を上げそうになって慌てて口を押さえる。
な、何で周藤がここに……?
と言う疑問のあと昨日の記憶がまざまざと甦ってくる。
ああ、どうせなら忘れていたかった……。
静かに体を起こすと上のスーツが脱がされていて、クローゼットに掛けられているのが見える。
本当、面倒見良いよな……。
眠る周藤の顔は、普段よりも子供っぽく見える。
なんか可愛いかも……なんて思って見つめていたら、不意に閉じられていた瞼が持ち上がった。
「ん………あ、金崎………おはよ」
「……お、はよう……」
「気分はどう?気持ち悪くない?」
周藤は寝覚めが良いようで、いつもと変わらぬ様子で語り掛けてくる。
「だ、大丈夫……昨日は面倒掛けて申し訳ない」
「んー?全然いいよ。別に迷惑だなんて思ってないし。でもあんなに飲んでる金崎見るの初めてだったから、ちょっとビックリした」
はは、と声を出して周藤は笑う。
「けど、もうあんまり飲みすぎんなよ。お前、ちょっと無防備過ぎるから」
「…………意味が分からない」
「そのままの意味だよ」
わしゃわしゃと頭を撫でてくる大きな手。
それだけでこんなに胸が鳴る。
苦しくて、嬉しくて、辛くて、幸せで。
周藤の言葉に、行動に、僕の全てが掻き乱されていく。
堪らなくなって、僕はその手を思い切り払い除けてしまった。
しまった、と思った時には既に遅く、周藤は驚いた表情浮かべる。
「あ…………ごめん」
「いや、俺の方こそ……そんなに嫌がると思わなくて、ごめんな?」
眉尻を下げる姿に僕の中の罪悪感が増す。
違う、周藤は何も悪くない。
悪いのは、いつまでもいつまでも叶わないと知っていながら、それでも諦めきれない想いを抱き続ける僕なんだ。
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