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嘘つき_17

「やっぱり綺麗な顔してるな」 「そんなことない。やめろ、見るな……」 覆い被さってくる周藤の視線に堪えられず、両手で顔を隠した。 だって顔が熱いんだ……絶対赤くなってる………。 「だめだ、ちゃんと見せて。それから金崎もちゃんと俺を見て。今から誰がお前を抱くのかを、その目で見てて」 両手を引き剥がしてくる力は強く、僕の力じゃ到底敵わない。 抵抗虚しく引き剥がされた両手は頭上でひとまとめにされてしまった。 片手で押さえ付けられるのは悔しいが、体重を掛けられては動かせなくなる。 周藤は空いた手で僕のシャツのボタンを一つ一つ丁寧に外す。 少しずつ肌が露になる度、そこに優しく唇が触れた。 「…………っ……………」 「震えてる」 周藤はこんなにも優しく女を抱くのか……。 この間、見たあの子にも…………こんな風に優しく触れたんだろうか。 あ、まずい……涙が……。 目頭が熱くなるのを感じる。 「……金崎?」 「ッ……何でもない!見るな!」 止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ!! そう思うのに涙は流れていく。 一度流れ始めてしまえばそれは止めどなく溢れる。 悔しくて歯を食い縛った。 途端、頭上で腕を拘束していた力がなくなり、身体が温かなものに包まれる。 周藤に抱き締められていると気付くのに数秒。 「――泣くなよ。泣かせたい訳じゃないんだ」 「なっ………離、せ……。泣いてなんか、ない。」 それでも抱き締めてくる力は強くなる一方で、僕の目からは次々と涙が溢れる。 「…………ごめん」 周藤はその呟きのあと少し身体を離した。 その刹那、重なる唇。 「…………ごめん」 もう一度謝罪の言葉を口にすると、周藤は身を引いて、そのまま部屋から出ていってしまった。 「な、んだよ……何なんだよ………ふざけんなよ……っ」 僕には頭の整理が追い付かなくて、ただ流れ続ける涙を感じていた。

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