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嘘つき_18
一体何が起きたのか、全然整理がつかず、ただボーッとベッドに沈み込んだ。
意識があるのかないのかも分からない。
それが急に現実に引き戻ったのはスマホが着信知らせ、振動したから。
着信は新からのものだった。
あ……待ち合わせ………。
時刻は指定時間をとっくに過ぎていた。
「……もしもし」
『もしもし?新だけど』
「ごめん……待ち合わせ行けなくて…………」
『いや、それはいいけど……なんかあった?やっぱ体調悪い?』
新の言葉に胸を痛めつつも、ここは話を合わせて穏便に済ませるべきだろう。
「……うん、実はちょっと頭痛が治まらなくて」
『大丈夫か?何か欲しいもんとかあるなら買っていくけど』
「ありがとう。でも大丈夫だ。少し休めば良くなるから。埋め合わせはまた今度でもいいかな?」
『俺はいつでも大丈夫だから。ゆっくり休めよ』
じゃあな、と通話が終了したスマホをベッドに投げる。
“――誰でもいいなら、俺でもいいって事だろ?”
“――俺が、抱いてやる”
思い出せば身体が火照る。
そんな自分が悔しくて、浅ましい……。
一度止まったはずの涙がまた落ちていく。
「………好き、好きだ……っ………」
何をされたって、何を言われたって……。
「どうしようもないぐらい、好きなんだ………っ」
この涙を止める術がないように、想いもまた募り続ける。
「……っ………助けて………これ以上は、もう……好きになりたくないっ」
ただ、同性というだけで、どうしてこんなにも人を好きになることが辛いんだろう。
こんなに辛いなら、
最初から好きにならなきゃ良かった。
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