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嘘つき_25
戯けて言う新に思わず笑ってしまう。
「何だそれ、馬鹿だな」
「ひでーな、本気で言ったんだけど?」
「なら尚更馬鹿だな」
「そんなこと言うならこの後もジェットコースター乗せるからな」
「お前どんな体力してんだ……」
ホットドッグで腹を満たした後、新は本当に僕をジェットコースターへと引き摺って行った。
続けて乗ると言うので、流石にそれは許してくれと懇願して比較的大人しい乗り物を僕が選ぶ。
それから全てのアトラクションを制覇する勢いで遊んで、観覧車なんて可愛らしい乗り物を最後に、僕らは帰路に着いた。
「はーぁっ、楽しかったな!」
「うん、楽しかった。…………新、ありがとう」
今日は一日心から笑えたように思う。
いや今日だけじゃない。新と居る時は心から笑えてる自分がちゃんと居る。
「なあ佑真、俺のこと好きになれそう?」
マンションへと近付く足取りの最中、少し先を歩いていた新が振り向き様に僕を見た。
「………………」
新を好きになる。そしたら僕は、きっと幸せになれる。
届かない想いを抱える事も、置いていかれる未来を見る事もない。
分かってるんだ、頭では。
それが一番良い選択なんだって。
「…………分からない。好きに、なりたいとは思う……だけど……」
「…………」
だけど心がついていってくれない。
「……そっか」
「ごめん…………」
「俺のこと好きになりたいって言うのは本当?」
「……う、ん…………」
「本当に?」
いつになく真剣な表情をした新は僕にゆっくり近付くと、優しく右手を握った。
「もしそれが本当なら、キスしてみていい?」
「…………え?」
「何かきっかけがあれば、大きく変わるかもしれない。そう言うのから初めてみてもいいんじゃない?」
「でも…………」
「それに周藤にされたキスの感覚、まだ忘れられてないんだろ?」
「それは…………」
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