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嘘つき_26

指先でなぞられる唇には確かに周藤とのキスの感触が残ってる。 忘れてない。忘れられない。 「忘れる努力も、必要だろ?」 「…………」 そうだ。忘れるんだ。忘れないと、前に進むために……。 「それとも、やっぱり忘れたくない?」 「………………分かった、してくれ」 掴まれた手の力を抜いて、瞼を閉じる。 本当にいいのかと再度確認を取る声に頷けば、次の瞬間には顎を掬われた。 徐々に近付く気配に自然と身体が強ばる。 忘れないといけない……忘れなきゃいけない……もう二度と、与えられないものなんだから。 「…………っ………」 鼻先が擦れて、僕は更に瞼を強く閉じた。だけどいつまで経ってもそれ以上新が動く気配はない。 「――佑真、本当は忘れたくないんだろ?」 優しい声音。 諭されるような言葉に恐る恐る目を開く。 「素直にならないと損するぜ、人生さ」 「……………」 「俺はゆっくりでいいって言ったけど、佑真の中で答えは最初から出てただろ?」 「…………っ…………」 「大丈夫。佑真の気持ちは我慢しなきゃいけないものじゃない。忘れなきゃいけないものじゃない。素直になっていいんだ」 「――〜〜ッ……僕は……」 好きで、好きで…… 堪らないぐらい、どうしようもないぐらい、ただひたすらにアイツの事だけが好きで。 だから、だから僕は……。 「……っくない……忘れたくない…………いらなくなんてない……僕はずっと……っ……ただ、ずっと……」 「うん、それで良い」 「……めん、新……ごめん…………」 「本当、俺みたいな良い男振るなんて罪は重いぞ!って言いたい所だけど、俺は最初から佑真に素直になって欲しかっただけ」 「……?」 「俺だってそれなりに近くで見てきたんだ。割と歯痒かったからさ。その気持ち、捨てきれないって分かっただろ?だったらさ、本人にぶつけてみてもいいんじゃないか?」

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