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SS_初夜2
初夜………初夜って……あれだよな、つまりセッ――。
「え、いやでも……ほら準備とか色々あるだろうし、俺達明日も仕事だし……って佑真何してるんだ?」
俺の言葉の途中で何を思ったのか佑真はサイドボードの引き出しをゴソゴソと漁り始めた。
その動向を見守っていると、佑真は漁っていた引き出しからローションとゴムをベッドへと放った。
「用意ならしてる。う、しろも……さっき風呂で準備した」
「…………」
「……幻滅したか?僕は女じゃない、男だ。男なら普通期待するだろう、好きな奴が家に来たら…………。嫌なら、別にいい」
言葉尻には瞳が不安そうに揺れていて、俺は食い気味に佑真の肩を掴んだ。
「――嫌なんかじゃない!俺だって……俺だってその、ずっとシたいって思ってた。けど初めての時は、やっぱそう言う場所の方がいいのかなって考えていて」
「そう言う場所?」
「夜景が一望出来る高級ホテルとか……?」
俺は俺なりに真剣に考えていた。それなのに佑真は目を丸くしたあと盛大に笑い始めた。そりゃあもう目に涙を浮かべるぐらい盛大に。
「ははは、馬鹿だなぁ、周藤は」
「……笑うなよ、俺は真面目に」
「はは、いいんだよ別に。言っただろう、僕は男だって。そんな綺麗事夢見てる女じゃないんだ。どこでもいいんだよ、場所なんて。ただ周藤が居て、周藤が僕に触れてくれるなら、どこだって」
首に回ってきた佑真の腕に力いっぱい引き寄せられ、何かを言う間も与えられず唇が重なる。
何も出来ず固まったままの俺を置き去りにすぐ離れた唇は優しく弧を描いた。
「周藤、そばに居て、触って、――僕の事、早く抱いて」
首腕を回したまま佑真は白いシーツへと沈む。
俺はそんな佑真を組み敷くように覆い被さり、目に映る光景に思わず見惚れた。
それはとても綺麗で大切に閉じ込めておきたいと思うのと同時に、めちゃくちゃにしてしまいたいと興奮する自分がいた。
「はぁ……俺、優しく出来るかな。ちょっと自信ない。こんなに緊張したことも興奮したこともないから」
「僕より経験豊富なくせに何言ってるんだよ?」
「逆に何で佑真はそんなに余裕そうなんだ?」
「馬鹿……そんなわけないだろ。今にも心臓が飛び出そうだ」
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