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SS_初夜3

だから早くしろと佑真は俺の着ていたワイシャツのボタンに手を掛けた。 「あ、佑真ちょっと待って」 「何だよ?ここまできて怖気づいたのか?」 「違うって、そんなんじゃない。俺、風呂入ってないから……シャワー借りていい?」 「何だそんな事か。別にこのままでいい」 「いやいや佑真は入ったからいいかもしれないけど、俺本当仕事終わりだし汗臭いって」 尚、行為を続けようとした佑真の手を取る。 「だからいいんだって」 それでも佑真の手は俺のシャツから離れず、シワが寄るほど握り込まれた。 「そのままが、いい……周藤の匂い、好きだから」 そう言って胸元に顔を埋められ、深く息を吸う音がすれば流石に恥ずかしさがある。 「ね、周藤……」 「…………〜〜っ、わかったよ。けど汗臭かったらちゃんと言えよ?」 「大丈夫、どうせ汗臭くなるから」 仕事着のワイシャツを着ている俺とは違って、佑真は風呂上がりのスウェットと言うラフな格好だ。 そのスウェットの裾から手を忍ばせ、腹部に触れる。 「……っ………」 少しだけ身体を強張らせた佑真を見下ろしながら、手に伝わる柔らかさに驚いた。 どんな綺麗な顔をしていても佑真は男だ。それは俺だって十分理解している。もっとゴツゴツとした硬い感触を想像していた。俺自身がそうだし……。 「……な、に………?」 固まったままの俺を見て佑真は不思議そうに首を傾げた。 「あ、いや思ってたより柔らかくて、その……ビックリした」 「…………元々筋肉が付きにくいんだよ。それと」 何やら言いにくそうに言葉を濁す佑真に今度は俺が首を傾げる。 「それと?」 「ふ、太ったんだよ……周藤と付き合ったから」 「え、俺と付き合ったせい?」 「そうだよ……だって金曜日じゃなくても毎日周藤とご飯が食べられる。一緒に食べるご飯は美味しいから、つい食べすぎるし、酒だって進む。一緒に食べられない時は、その、料理の練習したりするからそれも食べすぎるし……だから太ったんだよ……」 いつの間にかワイシャツのボタンを外す事を諦めてしまった佑真の両手が、自身の顔を覆い隠していた。 「……幸せ太りってやつ?」 「それ若干使い方違う気がする……」 「俺と付き合って、幸せだからだって聞こえた」

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