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第14話
翌日、予定通り洗濯物を済ませると、せっかくの晴れの休日にうちでじっとしているのは勿体無いような気になって、俺は少し歩いたところにあるショッピングモールに向かうことにした。
11月なのにわりと暖かい日で、俺は厚手のセーターとジーンズに着替えると、コートも羽織らずに出かけた。
ショッピングモールに行く途中の路面店をウインドウショッピングをしながら歩いていると、ふいに俺の足は一軒のペットショップの前で止まった。
小さい頃から動物が好きだった。
何となく飼う機会がなくてここまで来てしまったが、実は今住んでいる賃貸の物件はペット可だ。
ケージに並べられた犬や猫を見ているとつい頬が緩んでくる。
「良かったら、中で見学しませんか?」
扉が開き、ペットショップの従業員らしき女性が顔を覗かせた。
「いや、俺は」
「抱っこもできますよ」
抱っこの誘惑に勝てず、俺は店内へと足を踏み入れた。
中は、動物特有の匂いで溢れていた。
決して俺にとっては不快ではなく、どこか懐かしさを感じる匂いだった。
「ワンちゃんと猫ちゃんどちらをご希望ですか?」
「犬かな」
「この子、ヨークシャーテリアの女の子なんですけど、すごく人懐っこくて」
座った俺の膝の上に毛足の長い子犬が置かれる。
くぅんと鳴きながら、上目遣いに見つめられると、あまりの可愛さについ微笑んでしまう。
「どうですか?可愛いですよね」
「ああ、本当に」
衝動的に子犬を胸元に抱き寄せると、ふいにセーターが温かくなった。
きゃんきゃんと子犬が嬉しそうに鳴き、辺りに異臭が漂う。
「ごっ、ごめんなさい。この子、トイレトレーニングがまだ完璧じゃなくて」
俺の着ていたセーターはぐっしょりと濡れ、白のセーターには黄色い大きな染みができていた。
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