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第30話
目が覚めると体がかなり軽くなっていた。
大賀の姿はもう部屋にはなく、当たり前のことなのにがっかりしている自分がいた。
俺は伸びをするとシャワーを浴びにむかった。
まだ少しふらつきと頭痛はあるものの、熱はすっかり下がったようだ。
髪の毛を洗いながら、昨日大賀になぜあれほどまでに自分のことを曝けだしてしまったのかと考えた。
今更ながら後悔が襲ってくる。
大賀は突然の俺の告白に対して一体何を感じただろうか。
ため息をついた途端、現金な腹の虫がぐうとなる。
俺は部屋に戻ると外出用の服装に着替え始めた。
昨日大賀に話した通り、体調についてかかりつけ医に相談しに行く予定だった。
今の病院は土曜日も診察してくれるのがありがたい。
鏡を見ながらシャツのボタンを留める。
玄関のインターホンが鳴り、届け物かと俺は相手も確認しないでドアを開けた。
目の前に立っていたのは茶色い紙袋を抱えた大賀だった。
「ああ、昨日よりだいぶ顔色がいいですね」
大賀はにっこり笑うとさっさと靴を脱いで、俺の脇から部屋にあがった。
「お邪魔します。あっ、鍵借りっぱなしだったので、冷蔵庫の上に置きますよ。まだ体調が悪いなら、レトルトのお粥かなって思ってたんですが、調子良さそうですね。サンドイッチ買ってきたんですけど、食べられそうですか?」
キッチンの傍にある小さな机の上に大賀がパンを並べていく。
「課長。嫌いな物とかありますか?ああ、昨日買ったリンゴも剥きましょう」
大賀はキッチンにむかうと手を洗い、冷蔵庫を開けた。
まるで自分の家のようにふるまう大賀に俺は面食らった。
「大賀」
「リンゴの皮を剥くの割と好きなんです。俺、意外と器用な方で」
「大賀っ」
人の呼びかけを無視する大賀を怒鳴りつける。
大賀が瞬きを一つして、ようやくこちらを見た。
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