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第40話
「大賀、お前の作る料理は本当にどれも美味しいけどさ。お前だって予定とかあるんじゃないのか?結局昨日も一日付き合って貰ったし」
「気にしないでください。別に今彼女もいませんし。もし予定ができればそっちを優先しますから」
彼女という単語に思わずため息をつく。
大賀がふっと微笑んでそんな俺を見た。
「それに俺、課長といる時間嫌いじゃないですよ。課長ってなんか可愛いし」
「可愛い?俺が」
俺は顔を真っ赤にすると、大きく首を振った。
「俺が可愛いなんてあるわけない。昔から、冷たいとか可愛げがないとか散々言われてきたんだ」
必死に否定する俺がおかしかったのか、大賀がくすりと笑う。
「それは課長の態度の問題じゃないでしょうか」
愛想の良い方ではないという自覚のあった俺は図星を突かれ、気まずさをごまかす様に目の前のフレンチトーストに手を伸ばした。
メープルの滴るそれを頬張る。
甘さについうっとりする。
大賀は俺に手を伸ばすと、口の端を親指でぐいと拭った。
どうやらメープルシロップがついていたらしい。
大賀は自然な動作で拭った自らの親指を舐めた。
「いいんですよ。課長の可愛さに気付くのは俺だけで」
首を傾げる俺の前で、大賀は謎めいた笑みを浮かべた。
それから俺の家で大賀が持ってきたお勧めの映画のDVDを一緒に観て、夕飯はまたしても大賀が作ってくれた。
金目鯛の煮つけは、味が染みていて美味しくて、俺はご飯を三杯もお代わりしてしまった。
夕飯後、カーペットの上に座り、ぽよんと突き出た自らの腹を撫でていると、横に大賀が座った。
「何してるんですか?」
「いや、最近太ってきて」
大賀がいきなり俺の脇腹のぜい肉を摘まむ。
「ぎゃ」
「全然太ってなんかいませんよ。でも気になるなら、来週これに歩いて行ってみませんか?」
大賀の手の中のスマホを覗くと、近くのショッピングモールのイベントのお知らせだった。
なんと期間限定で、ニャンダショップがオープンするという。
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