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第44話
「大賀、ごめん。俺、夢中になっちゃって」
大賀は背中を壁から離すと、俺の持っていた大きな袋を奪った。
「いいですよ。課長に楽しんで欲しくて誘ったんだし。それに小学生に混じって本気でニャンダグッズを選ぶ課長、見てて面白かったです」
振り返ってニャンダショップを見ると、確かに小学生ばかりで、大人はその付き添いだった。
大賀は顔を赤くする俺と手を繋ぎ、歩き始めた。
「でもちょっと喉が渇いたから、お茶でもしましょうか。課長奢ってくださいね」
そう言われて俺は大きく頷いた。
近くのカフェに入ると、早い時間だからか店内はまだ空いていた。
大賀はブラックコーヒー、俺は期間限定のマロンクリームラテを注文した。
「付き合わせてごめんな。次は大賀の行きたいところにしよう。何か見たいものあるか?」
「そうですね。じゃあ、下の階の服屋に寄ってもいいですか?冬物のコートを探してて」
「もちろん」
俺は勢いよく頷いた。
「課長はいつもどこで服買ってるんですか?」
「ううん。俺は全然こだわりないから、そこら辺のスーパーの2階とかかな」
「そうなんですか?今日着てるシャツ、素敵ですけど、それもスーパーに売ってたんですか?」
「これは、親に誕生日に貰ったもので」
いい年をして親に買ってもらった服を着ているのは恥ずかしいかなと思いながら、俺は頬を染めた。
自分で買う服はサイズが合えばいいくらいのこだわりだが、せっかく大賀と休日に出かけるなら少しはマシな服を着たいと、二年前に父親から貰って、タンスに入れっぱなしだったシャツを今日初めておろしたのだ。
「すごく課長に似合ってますよ。ご両親センスがいいんですね」
褒められて俺は頭をかいた。
そんな俺を見つめる大賀の瞳はとても優しい。
そんな時、隣の席に人が座る気配がした。
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