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シュガー&ソルト 1 - ⑤
「ちょっ待っ…待って!」
「?」
「佐藤…その……あ、いや」
どうかしました?
そんな顔を見せてくる
自分でも今、何を言おうとしたか分からないのに、教室に戻ろうとしていた佐藤を
何でか呼び止めていた
「だからっ、俺……っなんつーかッ」
俺の名前、覚えてくれていた
傷の事、気にかけてくれた
色んな事が頭に浮かぶのに、言葉が見つからない
でも、何か言いたい……
そんな矛盾がグルグル頭ん中で回って焦りだけが募る
と、
キーンコーン…
次の授業開始のチャイムが響き渡る
「授業始まりますね、それじゃあ…」
また教室に戻ろうとする佐藤
ヤベェッ、何か、何か言わねぇと。
何かっ!
「待って、あの……そのっ…佐藤っ!
俺と、俺と、お、お友達からお願いします!」
「……は?」
「えーと、……え?」
分かるッ分かるぞ、その顔
訝しげに俺を見る佐藤に俺だって頷きたい
何で俺…そんな事言ったんだ?って思う
「いやっ、だからなんつーか」
「今時…」
「へ?」
「今時『友達になって下さい!』って言って友達になる人いないから、ちょっと驚きました」
「あ、あぁ~…だよな。そうだよな」
「でも…くくっ、あははっ……あ、すいません。
あの、俺で良ければよろしくお願いします」
「っ!!」
笑った顔が可愛いとか思ってない
胸がキュンキュンっなんてしていない
ガッツポーズが出そうな右手を抑えてなんかいないッ
断じて惚れてなんか…
と、思ってたのに
佐藤の甘さにベタ惚れするとか今はまだ……
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佐藤くん→砂糖。潮見くん→塩。
性格はそれっぽくはならなかったですね〜
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