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風神雷神 - ①
とあるコンビニの日常
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「雷(らい)さん、好きです付き合って下さいキスさせて下さい」
背後ろからギュッと抱き付くと、俺とそんなに変わらない身長の筋肉質な体がビクッと跳ねる
次の瞬間
「うっ、わッ…痛だぁああ!!」
床から足が浮き、視界が反転したと思った時には体に衝撃と痛み
そして大の字に寝る俺
どうやら俺は、柔道の背負い投げを綺麗に決められていたみたいだ
「て、テメェここ何処だとっ、じゃかしぃわ死ねッ店長と呼ばんかい!」
「じゃあ店長、挿れさせて下さいヤらせて下さい、俺とセック…」
「おい、なにシレッとハードル上げてんのじゃ干すぞ、わりゃぁあっ
そんなん言いよって風真(ふうま)、早よぅ行けやボケがッ!」
「ッ、ッ…雷さん、その発言は催促されてるっぽくてエロいんですけど。
イけって、雷さんの奥で中出ししてもー…」
「おんどりゃ調子ばこくなやッさっさとレジ入って来んかい!」
「うぅっ……す、すいませんッ」
殺る気の目だった
恐い、けどそれ以上に
(マジ可愛いですッ!!)
怒った顔もいい
感情が高ぶる時に出る方言もいい
短く刈り上げた黒髪に、訳ありで常にサングラスを掛けた風体は
どこから見てもガラの悪いヤクザ
でも昔は、すげぇ体も細くて綺麗で…
あの出会いは、まさに運命
そう、初めて雷さんと会ったのは俺が4歳のガキの頃
両親の仕事のせいで引越し、引越しの連続の中、お隣さんになったのがこの
10才歳上の鹿島 雷(かしま らい)
との出会いだった
『蝶野 風真(ちょうの ふうま)…くんって言うんだ、よろしくね』
『ッ…うん!』
優しく頭を撫でて微笑む雷さんの笑顔が可愛いくて、一瞬で一目惚れ
隣に住む優しいお兄ちゃん
お隣さん同士だったのはたった1年間だけだったけど、俺にとってその1年間は忘れられなくて
忘れる事なんか出来なくて
12年後、やっと戻って来たこの思い出の場所で運命の再会
『ら、雷さん?雷さんだッ、雷さーーんッ!』
嬉しさのあまり抱き付いた俺に起こったのは
『なんじゃわりゃぁッ!!きしょく悪ィんじゃボケェエエッ』
『グハッ!!』
下から上へと突き上げる見事なまでのアッパーだった
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