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ストーカーくんの恋 1 - ②

明るく笑う笑顔がとても似合っている サラサラの黒髪に切れ長の目 猫の様な気品と物静かな雰囲気が彼の周りを取り巻き (吸い込まれる…) 僕と同じぐらいの目線だから、背だって低くはないだろう 今時の馬鹿騒ぎする様な若者と違って、落ち着き払った立ち振る舞い そんな高校生ぐらいの しかも男に 僕は…… 「熱いのでお気を付けて下さい」 「ッ、……」 目を奪われる ひとりの人をこんなにも気になるのは、もちろん始めて しかも男だぞ? そう頭の中では分かっているのに その日からコンビニに寄って帰るのが日課になった 名札で名前を知れて、嬉しさで心臓が跳ねる 最初は、マニュアル通りの挨拶が、それがいつからか 「今日も暑いですね」 「お仕事ご苦労様です」 一言三言、発してくれるその言葉に気持が高揚 お金を貰う時、ごくたまに (うあっ、手、手がッ) 指先から伝わる温もりに心臓が痛いくらい跳ねた どこの学校に通っているのか どこに住んでいて、どんな事が好きなのか 知りたい 知りたい どんどんと、欲望が募っていって その欲望は (ああ、そっか…あとを付ければいいんだ) 膨れ上がって、行動へと。

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