29 / 35

七転八倒 - ④

その後… 目が覚めた時には雪はピタリと止んで、眩しい程の太陽がサンサンと真上から輝く 「あれ、夢…か?」 唇に余韻が残る感触にしばらく浸っていれば、何故か不思議な事に体が軽いと感じた まさか……と思って動かしてみた体は打ち付けた時の痛みも、寒さも空腹も無くて 健康体そのもの 「…まっ、いいかぁ」 そして下山した俺に待っていたのは 幽霊でも見た様に驚愕し、泣き出す友達 どうも俺は 3日間遭難していたらしい さらに聞けば、急激な寒波到来に天候が荒れに荒れて救助も出来なく、俺の安否は絶望的だった事 無事に帰って来れたのは奇跡 奇跡…… (俺…運強ぇ!いや〜神様っているもんだな、ありがとう神さー…) 『ちなみに主よ、お前の名は何と言うのだ?』 「まッ、!!!」 耳元で聞こえた声に飛び跳ねる 心臓が不整脈を起こす 「な、な、なっ!?」 誰だってこんなん見れば声にならない言葉を発するに違いない 俺の頭上でフワフワと浮かぶ銀色の長い髪をした男が見えれば、誰だって…… 「ぎ、ぅぎゃぁあああ!!」 『失敬な』 悲鳴は上げるだろう

ともだちにシェアしよう!