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七転八倒 - ⑤
そして……
『和樹よ、今日は学校とやらには行かぬのか?』
「……」
『あそこは人が沢山おって良いな?我はもう一度学食と言う場所に行ってみた…』
「だぁーーーっ!うるせぇ、何なんだよお前は!幽霊なら幽霊らしくたまに夜限定で出て来いよ!つーかっ、もうこれ以上俺に憑くなッ」
俺にしか見えないこいつは
俺だけしか触れれないこいつは
毎日ガッツリと俺の生活に影響を及ぼして平然としていた
『和樹よ、何度言えば分かるのだ?我は幽霊ではない。強いて言うなら雪の妖。雪女のようなー…』
「どっちも同んなじだろーがッ、とにかく離れやがれッ!!」
『我が離れれば、和樹……主は死ぬぞ?雪山で死にかけている主の心臓を動かし、生力を与えたのは我が力だ。』
「だっ、だったら何なんだッ!」
『今もそうだと言っておるのだ。
我が力で動いているその心臓、力の源の我が離れれば、とたんに止まり和樹よ、主は死に絶える』
(美人の迫力、恐わッ)
綺麗な目が鋭く尖り、目をジッと見られただけで心臓が貫かれる感覚に体がビリッと震える
「っ、そ…そんな事ある訳…」
『契約』
「は?け、契約?」
『ああ、契約で我と和樹は繋がったからな。我が力が完璧に戻るまでは離れる事は不可能』
なっ!?
なんだそれッ、聞いてねぇ!!
「俺っお前となんか契約なんかしてねぇぞ!」
『主は生きたいと願った。我はその望みを叶える為、莫大な力を使った。
力は補わねばならん。糧が必要なのだ。
主はその糧になると自ら頷き、ここで契約が成立したのだ。』
「糧って……」
その言葉に何故か心臓が跳ねる
うっすらとそんな様な夢を見た気もした
でも、そんな話…
『主の精だ。内から沸き出るその精力を取込み我が力に換算する。』
「精力?って…ちょっ!おい、何しやがるッ!」
突然、俺の両手首がガッシリと掴まれた
目の前には幽霊、もとい雪の妖怪
『やはり甘い香りだ』
そう一言呟いた男は
嬉しそうに唇を重ねて来やがった
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