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七転八倒 - ⑦

「ちょちょちょっ、なにズボン脱がそうとしてんだッ」 『和樹よ、暴れると怪我をするぞ』 暴れるに決ってるだろ! なんで男に? いや男以前に、幽霊みたいな半分存在してない奴に組み敷かれないといけねーんだよ! 『ふむ、困ったものだ……仕方ない』 「え?どわっ!!」 急に奴がかざした手のひらに光が集まった と、思いきや耳につんざく音波が聞こえ ズシッと重くなった手に違和感 「って、な、なんじゃこりゃ!」 俺の手は両手首から手全体に掛けて、氷漬け 見事なまでの自然の手錠が出来上がっていた 「…っにしたんだこの幽霊モドキ!外せ!!馬鹿アホハゲっ!」 『この氷は我の意志で解ける。和樹には冷たく無いと思うが、いくら力を込めても外せぬ。 諦めよ』 「諦める訳ねぇだろーーッとにかく、早くこれ取りやがれや馬鹿幽霊がッ!」 『和樹の為でもあるのだから、しばらく我慢せぬか。我も初めての行為だから加減が分からぬ。抱き潰さぬように、時間を掛けて、力を取り込む』 「だ、抱き潰すって…」 銀の色した髪の毛をかき上げる男の仕草にゾクリと体が震える 何か嫌な予感 とてつもなく その予感は奴の挑戦的に見下ろす目を見て確信する事になった

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