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第43話

「夕飯、史哉さんと拓磨さんも良かったら食べて行ってください!」 ある程度、一段落し、結月が笑顔で2人を誘う。 「結月が作ったんだ。腹減ってるだろう?食べていけよ」 穂高が説明し、促した。 「結月が?それは気になるな。お言葉に甘えてご馳走になろうか?史哉」 「うん」 4人はキッチンと繋がった、ダイニングテーブルのある一室へ移動した。 キッチンに立ち、家政婦に盛り付けを教わりながら準備をする、エプロン姿の結月がいる。 煮込みハンバーグにポテトサラダ、かぼちゃのポタージュ。 家政婦に教わりながら丹念に作った手料理をトレイに乗せ、テーブルに運ぼうとしている結月を見て、史哉が立ち上がった。 「身重なんだから、結月は座っていなよ。僕が運ぶから」 結月を気遣い、史哉が結月からトレイを奪おうとする。 「あ、でも、史哉さんはお客様だし、僕も安定期に入っているし....」 「無理したら駄目だよ。本当にお腹の子になにかあったらどうすんの」 結月と史哉のやり取りに穂高が驚愕の眼差しを向ける。 「変わったな、史哉」 「だろ?」 拓磨がそんな史哉を見て微笑んだ。 「お前のお陰だろうな」 穂高が言うと、拓磨はいや?と首を傾げた。 「案外、史哉を変えたのは結月かも」 「結月か、なるほどな」 結局、史哉が料理を運び、テーブルに並べ、やることのない結月が穂高と拓磨が寛ぐ、ダイニングテーブルの椅子に腰掛けた。 一通り、並べ終え、穂高と結月、拓磨と史哉がそれぞれ隣同士に並んで座り、結月の手料理でのディナーが開始した。 「....美味しい!中、チーズ入ってるんだ。凝ってるね」 史哉が絶賛し、 「美味いな。この、かぼちゃのポタージュも手作り?なんか、ほっこりしていいな」 拓磨も素直に褒めた。 結月はただ、ひたすら照れて、顔を赤くしている。 「で?将来の旦那様、お味はいかが?」 史哉がにやけながら穂高に言う。 「120点満点」 史哉も拓磨も爆笑した。 「100点満点じゃないのかよ、ウケる」 「良かったね、結月。でも、偉いな。僕も頑張んなきゃ」 ナイフとフォークでハンバーグを切り分けながら、史哉が張り切った声。 「今度、料理、教えてよ、結月」 「僕も家政婦さんに教わったり、レシピ本を読んだりしながらだから、まだそんな」 「またまた謙遜して」 「いや、ほんとに」 結月と史哉のやり取りを穂高も拓磨も暖かく見守った。

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