106 / 116

第106話

「...そうなんですね、え、えっと、その、お相手、女性の方ですか...?」 恐る恐る結月が聞いた。 何しろ、優磨と今まで会話した事が無かったからだ。 「女。職場の先輩なんだ。同じ美容師だけど、いつも叱られっぱなし。でも、すげー努力家で、後輩思いで...後輩のミスに一緒に頭下げて、バックヤードで泣いてる後輩、抱き締めて、励まして、そんな人」 「ようやく、こいつがまともになったってのに、穂高、まだ寝てんだもんな」 クス、と結月は茶化した拓磨を笑った。 「とにかく!穂高さんなら絶対、絶対、大丈夫だから!気に病むなよ!?」 「ありがとうございます、優磨さん」 突然、咲夜が泣き出した。それはそれは、部屋に響く大声だ。 「あー、こりゃ、ミルクか、オムツかな」 拓磨がソファ近くにある、史哉の出産の為に購入していたベビーベッドを覗き込み、結月が抱き上げる。 結月の腕の中で泣きじゃくる咲夜がいる。 「あ、どうしよう...オムツもミルクも...」 「ちょっと待って、史哉くん、後、任せても大丈夫?」 「はい、お義母さん」 パタパタと拓磨の母が駆け回り、オムツと哺乳瓶に入ったミルクとを持ってきた。 「あ、ありがとうございます、後は僕が...」 「いいの、いいの、結月くんはたまにはゆっくりしてて」 拓磨、優磨も見守る中、手際よく、オムツを替え、ミルクを飲ませる拓磨の母の姿に感嘆した。 「...やっぱり、慣れてますね」 「そりゃ、3人も産んで育てたもの。結月くんもまだ、子供は作るつもりでしょ?」 顔を赤らめながら、結月は頷いた。 「それがいいわ。子供は多い方がいいわよ、楽しいもの」 拓磨の母の腕の中で、安心したように、おとなしくミルクを飲む咲夜、拓磨の母の優しい笑顔に結月は心が安らぎ、癒された。

ともだちにシェアしよう!