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第106話
「...そうなんですね、え、えっと、その、お相手、女性の方ですか...?」
恐る恐る結月が聞いた。
何しろ、優磨と今まで会話した事が無かったからだ。
「女。職場の先輩なんだ。同じ美容師だけど、いつも叱られっぱなし。でも、すげー努力家で、後輩思いで...後輩のミスに一緒に頭下げて、バックヤードで泣いてる後輩、抱き締めて、励まして、そんな人」
「ようやく、こいつがまともになったってのに、穂高、まだ寝てんだもんな」
クス、と結月は茶化した拓磨を笑った。
「とにかく!穂高さんなら絶対、絶対、大丈夫だから!気に病むなよ!?」
「ありがとうございます、優磨さん」
突然、咲夜が泣き出した。それはそれは、部屋に響く大声だ。
「あー、こりゃ、ミルクか、オムツかな」
拓磨がソファ近くにある、史哉の出産の為に購入していたベビーベッドを覗き込み、結月が抱き上げる。
結月の腕の中で泣きじゃくる咲夜がいる。
「あ、どうしよう...オムツもミルクも...」
「ちょっと待って、史哉くん、後、任せても大丈夫?」
「はい、お義母さん」
パタパタと拓磨の母が駆け回り、オムツと哺乳瓶に入ったミルクとを持ってきた。
「あ、ありがとうございます、後は僕が...」
「いいの、いいの、結月くんはたまにはゆっくりしてて」
拓磨、優磨も見守る中、手際よく、オムツを替え、ミルクを飲ませる拓磨の母の姿に感嘆した。
「...やっぱり、慣れてますね」
「そりゃ、3人も産んで育てたもの。結月くんもまだ、子供は作るつもりでしょ?」
顔を赤らめながら、結月は頷いた。
「それがいいわ。子供は多い方がいいわよ、楽しいもの」
拓磨の母の腕の中で、安心したように、おとなしくミルクを飲む咲夜、拓磨の母の優しい笑顔に結月は心が安らぎ、癒された。
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