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第111話

キッチンには拓磨の父が立っている。 拓磨の母は、書斎から幾つかの絵本を書斎から探し、結月に手渡した。 「良かったら、咲夜くんに読み聞かせしてあげて」 「あ、ありがとうございます、あ、あの」 「ん?」 「その、とても理想的なご夫婦ですね」 「そう?」 「はい」 「んー、私達には当たり前な事でよくわからないのだけど...お互いを尊重しているのは昔からね。高校から付き合っているから付き合いも長くて、お互い、良く知っているし」 「高校から!?」 「知り合ったのは中学なんだけどね」 拓磨の母がにっこり笑った。 「結月くんと穂高くんも、きっといい夫夫になるわ」 「あ、ありがとうございます...」 40代とは思えない美しさを持つ拓磨の母に結月は照れた。 「おはよう...」 拓磨と史哉が起きてきた。 「おはよう、拓磨、史哉くん。優磨はまだ寝てるのかしら、全く」 「遅くまで一緒にワイン飲んでたし、仕方ねーよ」 「あら、そうなの?二日酔いかしら」 拓磨と優磨もいつの間にか、一緒に酒を飲み交わす程、仲良くなっていた。 「出来たぞー」 「拓磨、悪いけど、優磨を起こして来てちょうだい」 「はいはい」 フランスパンを1本、購入してきた、という拓磨の父は、ガーリックトースト、シチュー、スクランブルエッグ、サラダ、という朝食を作った。 「幾らでもお代わりしていいからな。シチューとガーリックトースト、ああ、サラダも」 「いただきます」 ガーリックトーストを齧ると、サクサクしていて、風味も抜群で、とても美味しかった。 シチューはまだ肌寒い中、体を芯から温めてくれる。 「俺と史哉はこれから出かけるけど、結月はどうする?」 「んー...僕は咲夜と遊びたいし、大丈夫です」 「買ってきて欲しい物もない?」 史哉に尋ねられた。 「遠慮しなくていいよ」 「特に...」 「そっか、わかった」 と言いながら、ケーキでも買って来そうね、と拓磨の母はやり取りを見ながら微笑んだ。

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