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第3話
「へえ、で、その痴漢退治してくれたおっさんに寿司、恵んでやったんだ?」
高校に入ってすぐに仲良くなった友人、樹(いつき)には全てを話していた。
「恵んだ、て...それに、おっさんじゃないよ、社会人一年目の21」
途端、何故か樹が目を丸くして身を乗り出してきた。
「21!?そいつ、イケメン!?」
「い、イケメンっちゃイケメンだけど、いきなりなんだよ」
「恋しちゃったとか!?たぶん!気づいてないでしょう!」
「いや、ないから」
友人の樹はなにかと騒々しい。
雪翔は帰宅の準備を進め、駅へと歩いた。
10分ほど歩いて駅へと着いた。
さすがに帰宅の時間は雅紀とは合わず、雪翔は車内で身構えるようになった。
帰宅して部屋着に着替え、寛いでいた雪翔は雅紀にLINEした。
(またごはんでも行きませんか)
しばらくして、
(いいよ。いつにする?)
(来週の日曜はどうですか?)
(来週の日曜か、今のとこ空いてる)
時間、待ち合わせ場所も決めた。
雪翔にとって、雅紀は痴漢を撃退してくれた優しく頼もしいイケメンのお兄さんだった。
「雪翔ー、お風呂空いたよー!」
雪翔の姉の階段下からの叫び声。
雪翔はスマホを置き、ドアを開けて階段を降り風呂場へ向かった。
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