ざばざばと荒い音を立てながら沢から這い出ると、オラガは濡れた身体のままでイオリに馬乗りになった。 ほんの僅か、イオリの顔に緊張が走ったのを見過ごさなかったオラガは、彼の唇をぺろりと優しく舐めてやる。 「加減出来ずにお前を壊してしまうかもしれないんだぞ」 「オラガになら、どんな風にされても構わない。覚悟は出来てる」 「イオリ…」 ちゅ、と濡れた音を響かせて幾度も唇を重ねる。互いの唇を食むような軽い口付けは、荒くなる呼吸とともに徐々に深く熱いものへと変わっていった。 「んっ…ふ」 舌先を吸われ、互いに舌を絡め合わせて口内を蹂躙しているうちにオラガは身体の芯が甘く疼くような感覚を覚えた。犬としての本能(ぶぶん)では絶対に感じない――恐らく愛おしさという人間の持つ感情。 (イオリは我が子同然だから…愛おしくて当たり前だろうに) 思考のほとんどが情欲に支配されている中で、ほんの僅かに残った理性を働かせながらオラガは湧き上がる熱情を懸命に押さえ込もうとした。 切りの良いところで仕舞いにして、イオリをゆっくりと寝かせてやらなければ駄目だ。彼もまた身体の性的な変化の波を受けて発情しているらしかったが、流石に最後まで交わってしまうことは躊躇(ためら)われた。 「ぁうっ…オラガ…。身体が熱いよぅ」 「苦しいか、イオリ。今、楽にしてやるから」 「んんっ、触ってぇ…」 鼻にかかる甘い声で鳴きながら、イオリは必死にオラガに縋りつく。その背をあやすように抱いてやりながら、オラガは彼の首筋や耳元へと舌を這わせる。 びくりびくりと喉元を反らせて感応する幼い彼の白肌は見る間に全身がほんのりと赤く染まりだした。 オラガ自身の魔羅の先からもぼたりぼたりと先走りが溢れて地面に幾つもの滲みを作る。ふとした瞬間に感じるイオリの微熱が、堪らなく心地良い。そのまま、自分が着ていた布服を敷き広げてその上にイオリをそっと寝かせてやる。 左手でイオリの右手を掴み、ゆっくりと互いの指を絡めた。そうして、今度は右の掌全体で彼の胸の辺りを焦らすように強弱をつけて撫でていく。両性具有ではあるが、イオリの胸は少しふっくらとしているだけで少年のそれとほとんど変わらない。 汗ばんだ彼の胸の突起を指先で軽く摘むと、それだけで大きく背を仰け反らせた。 「女子(おなご)と同じ反応だな」 「ぁ…あ、違うもん。僕は…男だ…」 「斯様に甘い声で鳴く男子(おのこ)などおらんぞ。ああ、唆る声だ」 「ひぁっ…ぅ。舐め…ちゃいやぁ」 「甘い乳首だ、コリコリしているし…」 「いやぁ…あぅ…あ、あ、んん…んむ」 堪らず、自分の右手の中指をイオリの口の中へと滑り込ませた。二度、三度と指先で舌の腹を擦るようにゆっくりと動かす。 「足を開け、イオリ」 「あっ…あぅ」 「楽にしてやるからな」 「い…ッ、あ、あんッ！なにっ…あァ」 イオリの唾液に塗(まみ)れた中指を、オラガはゆっくりとホトの中に差し込んでいく。ねっとりした肉の感触が指先を熱く包み込んだ。オラガにとっては久々となる女の腟内(なか)の締め付けに堪らず甘い吐息が漏れた。このまま滅茶苦茶に突いてイオリを己のものにしたいという歪んだ支配欲が彼の背をぞわりと粟立たせる。