「アッ…ん、オラガ…だめぇ…やぁぁぁ…ッ」 「…ん、う」 開ききった両足が強ばり、喉を反らせながらイオリが叫び声を上げた。腰も反り、突き出した魔羅からは多量の精液が迸(ほとばし)る。ビュク、ビュクと幾度も噴き出すように溢れる白濁を余さず飲み下しながら、オラガは彼の絶頂が治まるのをゆっくりと待った。 「ん…ふぅ、オラガ…」 「大丈夫か？」 「ん…次は、オラガの番…んっ」 返事の代わりにイオリの額や頬に軽く口付けると、オラガは彼の身体をぎゅっと抱き締めてやった。 「俺はいい。ほら、少しは楽になっただろう？お前はもう休め」 「いやぁ…」 ぎゅっとオラガに抱きつきながら、イオリは甘えた声を出す。発情の匂いも治まらないまま擦り寄られて、オラガは堪らず「う」と呻いた。 自身の昂りを鎮めなければ、イオリを傷付けてしまいかねない。 「なら、舌を吸ってくれるか。俺が果てるまで」 「んん、分かった…」 膝立ちになったイオリの背を左手で支え、彼のぎこちない舌戯を受けながらオラガは胡座をかいたままで右手で自身の魔羅をゆっくりと扱いた。不意に、イオリと離れがたい感情が沸き起こり、なるべく射精感を堪えるようにして緩く刺激を与え続ける。 「んっ…ふ、オラガ…気持ち良い？」 「…っ、ああ。イオリ…」 我が子然として育ててきた彼の名前を呼ぶ度、オラガの胸中には不思議な激情が溢れ出す。犬神として永い時を生きてきたが、このように甘苦を伴う愛おしさなど今まで感じた事がない。 (イオリ…) 「オラガ…んっ…好き…」 「…！ッう…あ」 堪える間もなく、オラガは背を丸めて果てた。 びくびくと不規則に震える魔羅からは多量の白濁が溢れ出し―― 「あッ…あ、やめろ…イオリ…」 「んんっ…う」 跪(ひざまず)いたイオリが小さな口を窄めながら、オラガの吐き出した白濁を愛おしそうにごくりと飲み干した。 魔羅の先端にイオリの口腔内の柔らかな感触が触れ、オラガは堪らず腰を揺らした。やがて彼自身の衝動も落ち着くと、そのままイオリをぎゅっと抱いた。 「口を濯(ゆす)げ。汚れてしまっただろう」 「やだ。オラガの精、すごく美味しかったよ」 白濁のついた唇をぺろりと舐めとる姿が少年にはあまりにも似つかわしくないほどに艶めいていて、オラガははっと息を飲んだ。 両性具有としての性(さが)なのか、イオリには女人としての顔も目覚めてしまったらしかった。 「オラガ、好き…」 「ああ、父子(おやこ)だからな」 「違うよ、オラガは父様(ととさま)じゃなくて――僕の大事な人だよ」 「今のお前は、気分が昂って情緒がおかしくなってるんだ。さあ、身体を洗ってゆっくり休め。気持ちが落ち着けば、全て忘れる」 「オラガ…」 切なげに名を呟いたイオリを腕の中に抱いたままで、そのまま沢にゆっくりと身を沈める。 ぐったりと疲れ果てているイオリの身体を優しく洗ってやりながら、オラガはどこか茫然自失となっていた。