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15day・fry 3/26

「そんなに難しく考えなくていいじゃないですかーー?」  この 1 週間どうしていいか解らず逃げ回っていたが、会社の帰り道にとうとう桐生に捕まってしまった。 このまま無視し続けるのは無理なのは解っていたけれど、気持ちの整理は少しも付いていなかったし、会えば事態が悪化することは解りきっていた。 「深森さん女性と付き合う時そんなに相思相愛じゃないと付き合えないんですかーー?」    連れて行かれた地中海料理の店で、頑なにオレンジジュースを飲む俺を見て笑いながら桐生は美味しそうに白ワインを飲んでいた。 「なんとなく、付き合って相性いいとか悪いとかで付き合い続けたり、別れたりするでしょ? 彼女がいないってことは今そこまでのパートナーは見つかってないってことだと思うし」  桐生はしれっと話を進める。予想通りの展開にぐったりだ。  あーーもう聞きたくない。  この口から生まれた悪魔が! 「俺が男だからネックなだけで女だったらとりあえず付き合ってないですか? 俺条件いいですよ? うるさいこと言わないし、金はかからないし、家事全般も得意だし。何より体の相性最高でしょ? もし深森さんにどうしても付き合いたい彼女ができたら綺麗に別れてあげるし」  聞いちゃダメだ。この詐欺師に口で敵うわけがないのだ。  大体、体の相性とか臆面もなくペラペラと! 「深森さんは良くなかったですか? 気をつけたけど最初だから無理させちゃったかな? 俺は今までで1番気持ちいいセックスでしたけど……」 「……ちょっと黙ってくれ……」 「あ、すみません。やっぱ痛かったんですね?」  違う! いや違わないけど、そう言うことを平気でペラペラ喋るな! 大体ここをどこだと思ってるんだ。隣りのカップルが聞き耳を立ててフォークが止まっているのに気づいていないのか! わざとやってるのか!  ・・・・*・・・・*・・・・*・・・・ 「俺本気ですからね。深森さんが俺をお試ししてくれることを期待して待ってます」  駅の改札までだと頑なに見送りにきた桐生は真剣な顔でそう言ったが返事ができず、そのままホームに入ってしまった。  どうしろって言うんだ。  2年間のゲームを楽しめって言うのか……。  全部お前の言う通りかも知れないが、俺はそうですかと頷けるほど器用じゃない……。

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