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253day・fry 11/19 ※R18
「お疲れ様でした」
マスコミ会見後に開かれたパーティ会場での挨拶まわりから、解放され会場の隅の席で桐生と一緒にやっと料理と酒を口にした。
「全くだ。引きこもりなんだから、こういうのはホント勘弁してほしい」
「仕方ないですよ。今回はお二人の名前を大々的に看板にしたプロジェクトなんですから」
桐生がずっとそばに付いて相手のプロフィールや関係性を教えてくれつつ、間に立って話をしてくれてほんと助かった。営業ってすげーな。絶対俺は無理だわ。
早朝から山田と2人スタイリストに上から下までコーディネートされ、マスコミ会見に出され、その後のパーティでは各所への挨拶に引き回された。こちらとは別働隊で動いている山田&八魂ペアは専務がナビしてるんだろうな。
「さすがプロの仕事ですね。お二人ともモデルみたいにカッコ良いですよ」
俺はともかく、山田の変貌ぶりは凄かった。高級スーツを着せられ、ヒゲも全部剃られて、猫背もなおされ、喋らなければ確かにモデルだ。つか久しぶりにあいつの素顔を見た。
動き出してみて今回の仕事がどれだけ大きなものか実感する。これからこのデバイスは多くの人の手を借りてどんどん大きくなっていくだろう。仕事に自信はあるが、俺がいくら良いものだと叫んだって誰も振り向いてはくれない。興味を持ってもらうためには、そのための、桐生のような人間による作業が必須だ。苦手ではあるがこういう機会も必要なんだろうな…。
「……桐生ありがとな。今回のプロジェクト、今までの仕事の中で1番楽しかった。このデバイスで日本中、いや世界の子供もきっとプログラミングに興味を持ってくれる。これをきっかけにきっとすごい才能が生まれる」
「お礼なんて……」
桐生は複雑そうな顔をして暫く自分を見ていたが、急に俺の腕を掴んだ。
「ちょっと、付き合ってくれませんか?」
まだ賑わっているパーティ会場の人波を拭いながらロビーに抜け出す。
「な……なんだよ?」
さっきから桐生は押し黙ったままだ。
強引に腕を引かれてエスカレーターに乗せられ、上階の客室に着くと部屋の中に放り込まれた。
うわ。なに俺ボヤっと連れ込まれんだ!!
「なんで部屋とってんだよ!?」
慌てて出口に向かうが、桐生がドアに背を向けてそれを遮った。
「朝会った時の社長の話、聞いてなかったんですか? 『帰りゆっくり泊まっていってー』ってカードキーくれたじゃないですか?」
そういえばそんなこと言っていたような……。
余計な気遣いーーーー!!!
「……ん……!」
唇を塞がれる。壁に追い詰められ、噛み付くような激しいキスをされた。
疲労した体には刺激が強すぎて、頭がクラクラする。
「……このプロジェクトが終わるまでと思って、ずっと我慢してました。でももう限界です!!」
キレ気味に桐生が叫んだ。ちょっと目が据わっていて怖い……。
「ちょ……ちょっと、落ち着け……桐生」
「無理です。あなたと初めてしてから半年以上俺、誰とも寝てないですよ。自分でも驚いてます」
なんだそれ! なんのリア充自慢だ! そんなの俺だって同じだし!
「男なら抜かないわけにはいかないでしょ? 一度位俺と寝たこと思い出してくれました?」
言われて体が熱くなる。一度どころか幾度もお前に夢で襲われた。しかも子供みたいに夢精して起きるっていう30男にあるまじき醜態で……。
「……あったみたいですね」
俺の肯定しているんだろう顔を見て、桐生は嬉しそうに抱きしめてくる。
「何も考えなくてもいいです。酔った勢いでも、溜まってるからでも……とにかく俺に付き合ってください」
体が動かない……今すぐこの男を突き飛ばさなきゃいけないのに……。
・・・・*・・・・*・・・・*・・・・
「何も用意してないし、傷つけたくないから」
そう言ってシャワールームに連れ込まれた。
さすがTホテルの浴室、大の男が二人いてもぜんぜん広いが、明るすぎる……色々正視できない。いつ脱いだのかと分からないくらい手際よく裸にされてるし。
「いいですよ。恥ずかしかったら目をつぶってて下さい」
ずるい。お前は全部見てるくせに……。
引き込まれるように桐生の綺麗な顔を見ていると自分の中で何かが崩れていく気がした。
「見るよ。さすがにもうそんなの卑怯だろう……」
全部お前のせいにして快楽だけ貪ろうなんて……。
「あーー深森さん。ホント男前でたまんない……」
桐生は嬉しそうな顔をして抱きしめてくる。
受け入れればきっと自分は変わってしまう。
……怖い。怖いけれど、どうしようもなく自分もそれを求めているのだと感じていた。
・・・・*・・・・*・・・・*・・・・
「バスタブ入りましょうよ」
備え付けのバブルバスを放り込んで勢い良くお湯を出すと湯船がモコモコの泡だらけになった。
気遣いだな……泡でお互いの体が隠されて少し安心する。覚悟を決めたとはいえ、色々刺激が強すぎる。
「力抜いてて下さいね」
バスタブの中で抱き合ったまま桐生は後ろを探ってきた。泡の滑りを借りて指を中に入れてくる。綺麗な桐生の細くて長い指が自分の中に入っているんだと思うとどうにも恥ずかしい……しがみ付いてなるべく力を入れないようにするので精一杯だ。
「ちゃんと深森さんのいいところ覚えてますよ……」
耳元で囁くと、見つけ出したその場所を指の腹で叩くように刺激してきた。
「うわ……!」
なんだこれ! おかしい!
「深森さんは覚えてないかな? ここを触るとすごく喜んでいい顔見せてくれたのに…」
覚えてない。俺はどんな醜態をお前に見せたんだろう……。
本当に桐生の言う通りすごく気持ちがいい。
桐生にしがみついていないと湯船に崩れ落ちそうだ。
「指噛まないで怪我します」
声を抑えようとして噛んだ指を口から外して、桐生は代わりにキスをしてきた。
噛んでもいいですよ。とばかりに舌を深く入れて口腔内を犯してくる。
「う……」
中に指を入れて掻き回しながら、自分のものを左手で握ってきた。泡で滑りをつけて、ゆっくり上下させたり、先を親指で強く刺激してくる。
刺激が強すぎる。こんな感覚、知らない……!
こんな体の両方が気持ちいいなんて……!!
頭を振って快楽を逃がそうしても全然無理だった。
限界! 出したい!
瞬間。根元をグッと握られた!
「むり! むり! 離して!!」
もう羞恥心なんてカケラも残ってなかった。
出したい! 出さないと気が狂う!
「ふふ。可愛い」
懇願しても桐生は自分を見て笑っている。
離してはくれず、握ったまま後ろを刺激し続けてくる。
「は……はな…して…! おねがい……!」
苦しい…! おかしくなる!
「俺の事しか考えられなくなっちゃえばいいのに……」
やっと解放されて吐き出すと、くらくらした意識が落ちていく瞬間、桐生の満足そうな声が聞こえた気がした。
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