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one day 2

(……く、くるし……!)  夜中、気がつくと桐生に抱きつかれていた。背中に回された腕が結構本気の力でキツい…。  一緒に寝ているとたまにこういうことがあった。 「……母さん」  寝言はいつも同じだった。母親を呼んでいる。  背中をポンポンと軽く叩くと腕の力が少し緩まる。  そのまま、あやす様に撫でたり叩いたりしていると落ち着いた表情になった。  何かあるんだろうな……前に家族のことを聞いた時は普通の家庭ですよ。なんて言っていたが、本当はそうじゃないんだろう。それ以上は聞く気は起きなかったが、桐生の内腿にあるヤケドに関係がある気がする。  子供のころアイロンに触ってしまったと言っていたが、それであんな大きな跡になるだろうか……しかも内腿。子供の頃だって言うからハーフパンツだったとしても不自然すぎる。  幼い寝顔。  唯一見れる本当の桐生の姿だな。  起きている時は一度もこいつの本当の姿を見たことがない。  セックスしている時でさえ、気持ち良さそうに俺の体でイク時ですら本当じゃない気がしていた。  夢の中で必死に母親に抱きついているだけなのかもしれないが、この時はだけは本当のお前に抱かれている気がして、この時間がすごく好きだった。  我ながらイカれているな……。  桐生の体越しに見える真っ白い天井に無数の演算子が浮かぶ。  それはずっと不具合が続いていて、埋めても埋めても埋まらなかった。  いつの間にか、そこだけがぽっかりと空間が空いてしまい、美しいプログラムにならないのだ……。  あぁ……そうだ。  最初を初めて見た時に感じた違和感。  これだったんだな……。

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