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366day sat 3/12

 ……多分吐いたよね。  すごい、吐くほどショックだったんだ。  俺と別れることが……。  自信はあったけど、想像以上。  あと1年だと言った時のあの絶望的な表情。  それでもあなたは赦してくれた。  セックスしている間もイヤでイヤでたまらないくせに俺を受け入れて、気持ち良くなる度、それが許せないって顔してた。最低な男に抱かれてるのに、罵倒もできず、ずっと耐えていた。  揺れる瞳が、それでも好きなんだと必死に訴えてきた。    あーー体の中がすっごいゾクゾクする。  セックスなんかより、ずっと気持ちいいかも……。 「同棲はしない。どうせどっちかの家に出入りしてるんだから、平日でも好きに来ればいいだろう?」  そう言って深森さんは逃げるように帰って行ったけど……。  どうして? どうして、今すぐに別れないの?  あなたのプライドも愛情もズタズタにしたのに……。  ……ぼくのことが、だいすきだからだよね?  ……だから、すてられないんだよね? 「そうですね。確かに1年後どっちかが困りますからね」  そう返事すると深森さん泣きそうな顔してた。  机の上に飲みかけになっていたワインを飲み干す。喉元を通り抜けたそれは眩暈がするほど甘くて頭がクラクラした……あぁ旨い…これ、こんなに美味しいワインだっただろうか……。  ごめんね。だいじょうぶ。ずっといっしょにいるよ。  だってあなたはずっとぼくをあいしてくれるでしょ?  だったらずっといっしょにいてあげる……。

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