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267day・fry・12/3
桐生の言った通り月曜からの2週間は戦場だった。
1日2、3件の雑誌取材、毎日夕方からはリモート講習や質疑応答。
それ以外にテレビ出演やイベント会場や大学での公演など。
全盛期のアイドルか! って位、分刻みで働かされた。
「これでも移動時間も考慮して、地方でのイベントは全て断ったんですよ」
次のイベント会場に向かうためにまた車に乗り込むとカフェで買ってきたココアを差し出し桐生は申し訳なさそうに言い訳した。確かにほぼ都内での催しばかりだが、開発部も心配だし流石にもう勘弁して欲しい。
「深森さんもそうですが、社長がもう限界ですよね。来週からはお二人は解放しますよ」
運転しながらやっと桐生が解放宣言を出した。
この2週間、立派な大人を演じさせられていて山田は爆発寸前だった。確かに限界だろうな……。
「あとは営業部隊が動きます。お疲れ様でした」
やれやれと緊張の糸が切れ、助手席のシートに深く沈み甘いココアを口にした。
「悪いな……もう裏方に戻りたい」
「協力感謝します! もっともっと売って見せますから報告楽しみにしててくださいね」
「ああ、よろしく頼む」
ココア美味いなーーしゃべりすぎた喉に染みる。
「あと、今週末は一緒に過ごしたいんですが……」
運転しながら桐生が聞いてきた。
どう返事すればいいんだろうか……今の俺とお前の関係性って一体なんなんだろう……。
セックスしたからって恋人ですって気持ちにはまだなれない。
もっとお互いのことを知れば何かを掴んだり、変わったりしていくんだろうか……なんだかあやふやでどうしていいかもわからない気持ちを抱えたまま俺は頷いた。
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