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One day 1
桐生の部屋。借りて読もうとした本を棚から取ろうとしたら写真が落ちた……。
拾った写真にはスラリとした綺麗な女性が写っていた……元カノ……かな……?
見ちゃいけなかっただろうか……だが桐生も気付いたみたいだし知らない顔で戻すわけにもいかないか……。
「写真入ってた。もしかして彼女?」
「何言ってんですか? 母親ですよ」
桐生は可笑しそうに笑った。
いや、母親なら母親で、すげーーびっくりなんだけど!
スッゲー綺麗。女優か? って位。桐生の母親ってことは絶対40は過ぎてるってことだよな? 若い頃の写真なのかな?
「母ちゃん、すっごい美人だな? びっくりした」
「そうですか? 普通ですよ。てかおばさんでしょ?」
「何言ってんだよ。そんなこと言ったら怒られるぞ。こんな綺麗だったら自慢の母親だな」
「綺麗なんて思ったこと一度もないですけど」
「そうなのかー? 近くにいすぎるとわからないものなのかな?」
これで綺麗じゃなかったら桐生の綺麗ってどんなだよ?
「好みなんですか?」
「いや、そういう訳じゃないけど、綺麗すぎて俺は無理だな。気後れしそう……」
「さっきからおかしいですよ。綺麗とか」
ほんとに桐生はピンときていないみたいだった。
まぁそうか、母親を異性として見るわけないしな。
「俺に全然似てないでしょ?」
確かに……桐生も男前ではあるが、似てはいないな……。
「俺、父親にそっくりなんですよ」
「そうなんだ? 親父さんの顔も見てみたいな。将来のお前って感じなのかな?」
中年になった桐生ってどんな感じなんだろう……と思わず興味が沸いた。
「そのうち会わせましょうか?」
「……いや、それは……どう紹介するつもりなんだよ。ほんとの事言ったら、親父さん腰抜かすぞ」
「俺、別に隠しませんよ。親父も反対しないと思うし」
「そうなのか? 随分懐の広い親父さんだな」
俺が父親だったら絶対、冷静ではいられないと思う。息子の将来が心配すぎて大反対……してしまうかも。
「そんなことより深森さんのお母さんに会いたいです」
「俺の母ちゃんか……怒りゃしないだろうけど、ほんとのこと言ったら、それこそ腰抜かすだろうな」
「怒らないんですか? すごいですね」
「んーーわかんないけど多分な。人を傷つけたり、目上の人を大事にしないとすげーー怒るけど、それ以外は結構放任主義なんだよな。差別も絶対許さないから男同士だからってことで反対はないと思う。そう考えると俺の方がよっぽど頭固いかもな」
「そうですよね。深森さん落とすの結構大変でしたし」
桐生は笑いながらそう言うと、キスをしてきた。
「……いつか、言うよ」
「そうですね。いつか」
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