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533day fry 8/26 ※R18
ここひと月、桐生は家に来ていない。ラインでの連絡も入ってこなかった。2年を待たず、もしかしたらここで終わるのかも知れないな……。
何が変わったわけでもないのに、どうしてこんなに広く感じてしまうのか……何もないようなガランとした部屋を見回した。
今週末も来ないんだろう。明日は何をするか。あいつが来ないと俺はどこにも出かけないな。近くのスーパーにストックの切れた日用品を買いに行く程度の用事しか思い浮かばない。あとは掃除と洗濯か……。
やけどのことを喋ってしまったことをきっと後悔しているんだろうな。
寄り付かなくなったことがあの話が本当なんだと証明している気がする。
山田の言った通り、あいつは愛して欲しいと泣いている子供なんだ。
だが、ただ愛するだけじゃダメだ。
少しの妥協も、同情も、打算も許さない。あの全てを見通す鋭利な頭脳で相手を試して試して、そして誰もあいつの正解に辿り着かなかったんだろう……。
そんな重いものを俺はあいつに示してやることができるのだろうか……。
会いたいな……。
ただ会いたい。それだけじゃお前を愛する資格はないんだろうけど……。
深夜2時、もう寝るかとベットに入ろうとした時、携帯の画面が明るくなってラインの着信音が鳴った。
・・・・*・・・・*・・・・*・・・・
「どうして連絡してこないんです? もうたいして時間もないのに、このまま俺に会えなくなってもいいんですか?」
夜中に急に来て、桐生は身勝手な文句を言った。あんなに酒に強い桐生がかなり酔ってる。よっぽど飲んできたんだろうな……。
「お前の邪魔はしたくない」
「そんな綺麗事聞きたくありません! それくらいの気持ちなのか? ……って聞いてるんです! どうして泣きながら俺に会いたいって連絡してこないんです!」
思わず笑ってしまう。そんな事すらできないほど惚れてるってわからないんだろうか、いや解っていて言っているのか。
「俺のことなんか、いらないんですか?」
抱きしめられる腕が熱かった。ひと月離れていただけなのに、この体温に、匂いに眩暈がする。どうしようもない。お前のことが好きでしょうがない。
「同情してるんでしょ?」
「……してる。仕方ないだろう。あんな話を聞いて何にも感じてないとは言えない」
桐生の顔色が変わる。これ以上掘り下げたら危険だ。わかっているのに、でもどうしても聞きたかった。
「あの話は続きがあるんじゃないのか?」
・・・・*・・・・*・・・・*・・・・
答えは聞けなかった。押し黙った桐生にひきづられるように寝室に連れていかれた。
「今日は飲み過ぎちゃって勃たないだろうと思ったから代わりを持ってきました」
……代わり?
押し倒されたベットの上で桐生はグロテスクな形をした男性器の形をしたおもちゃを見せた。
「……! いやだ!」
逃げようとした体を押さえつけられる。
「たまには違うシュチュエーションも楽しいでしょ?」
絶対に嫌だ! 桐生の体を思い切り突き飛ばす。男同士だ。本気で抵抗すれば無理矢理なんてできるはずがない。
「どうしてイヤがるんです?」
桐生がゆらりと立ち上がる。
「そんなに俺のことが嫌いなんですか?」
愛情のカケラも感じられない冷たい表情。
拒否したら、本当にここで終わるかもしれない。
二度とお前はここに来ないかもしれない……。
途端に恐怖が湧いてくる。
怖い……お前が俺から離れていくことが。
どうしてもイヤだ。もう少し、もう少しだけでいいから……。
絶対イヤなのに、俺はその恐怖で桐生に手を伸ばしてしまっていた。
・・・・*・・・・*・・・・*・・・・
たっぷりローションを塗ったそれが俺の中に入ってきた。
冷たい。気持ち悪い。
何より桐生がずっと冷静な目で眺めているのが辛い。
「覚えてる? このローション初めて深森さんとした時に使ったのと同じやつ。気持ちよくなる成分が入ってるんだって」
痺れるような感覚とこの甘ったるい匂いに覚えがある。体の中がジンジンしてきた。
身体中に塗られた部分もどんどん熱くなってくる。
「どんな感じ?」
まるで実験でもするように深く浅く、おもちゃを動かして俺の様子を伺っている。
気持ちもなく、そんなもので遊ばれているなんて、まるで拷問だ。
「……!」
ぐ……っと1番気持ちの良いところをそれで押してくる。
「ふーん。気持ちいいんだね?」
桐生はローションを滑らせて体中を撫で回し、勃ち上がった俺のものを扱き始めた。
気を逸らそうとしても、どうしても体が熱くなってしまう。
「……あ、やだ……やだ……」
こんなものでイきたくない!
「……頼む。お前のでいかせてくれ」
「俺のがいいんだ?可愛い。いいよ。最後は俺のでね」
機嫌の良い声。
優しい言葉に体が緩んで息を吐いた瞬間。中のおもちゃが強く振動した。
「あああーーーー!!」
強すぎる刺激に、体が反り返り、思い切りイってしまった。
「ごめんね。スイッチ入っちゃった。でも許せないな。こんなのでいっちゃうなんて。俺のじゃなくてもいいんだね。ガッカリ」
わざとやったくせに……!
桐生はまたスイッチを入れた。イッたばかりの体にまた強い振動が襲ってくる。
「やめ……やめてくれ!」
桐生はそれを動かしながら、冷徹に自分を見ている。
ブーンという電子音が体中に響いて胸糞悪い。
「体は全然イヤじゃないみたいだよ。ずいぶん淫乱になっちゃったね。こんなんじゃ俺と別れたらすぐに他の男を探すかもね。俺が育てた体なのに、他の男を咥えこむのかな……許せない……」
懸命に頭を振って否定するが、桐生は理不尽な怒りで苛立っていた。
カチっと言う音がして刺激が強くなる。強度をあげたそれを動かして深く、浅く、いいところに容赦なく刺激を与えてくる。
「……あ、あぁ、もうやだ……!」
「……この淫乱。俺を裏切るの?」
さっきから何度イッたか解らない。イってもイっても刺激され続け快感が痛い。もう精液も出なかった。
限界。気持ち良すぎて気が狂う。
気が遠くなる。落ちる前に伝えないと……。
「……しない。お前としか……しないよ」
「ほんと?」
「ああ……」
ずるり……入れられていたものが出されてやっと解放されたと同時に桐生のものが入ってきた。
「すごい、あんなにかき回したのに全然緩んでないね? 俺のをぎゅうぎゅう締め付けてくる。嬉しいんだ? 俺に抱かれて?」
「……うれしい……」
ほんとうだよ。お前が入ってきた途端、体中の細胞がゾクゾクと泡立って剥き出しの神経に触られているみたいだ。
「……きもち……いい。もっと……」
「ここ好きだよね?」
俺よりも俺の体のことを知っている桐生は1番いい場所を狙って腰を動かしてくる。浅く、強くリズムさえも俺が1番好きなタイミングだ。桐生の吐息が荒くなり、自分求めて興奮しているのがたまらなく嬉しい。あんなにイったのに体の中からさっきよりもずっといい快楽が湧き上がる。
「……あ、あ……いぃ……」
桐生にまたがるように膝立ちになった体でさらに自分で腰を上下に動かす。もっともっと気持ちよくなって欲しい……。
「すご……ああ、ほんと、いやらしい体になったよね……」
桐生は背中を強く抱き寄せると左の乳首を強く噛んだ。
「あーーーー!」
気持ちいい。ガクガクと腰が震えたが、もう吐き出すことはできなかった。
快感だけが背中を走って目の前が真っ白に見えてチカチカした。
「っく……」
桐生が少し眉を寄せる。その途端、自分の中に射精して暖かい精液が入ってくる感覚がする。
……嬉しい。お前が俺の体でイッたことが。
好きなんだ。どうしようもなく。
体だけでも構わない。俺を捨てた後、少しは惜しかったと思って欲しい。
少しでいいから覚えていて欲しい。
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