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534day sat 8/27

 体がだるい。指1本も動かしたくない……。  桐生は隣で少し丸まってまるで子供のように眠っていた。  顔が好きだな……少し甘めの綺麗な顔。  均等に筋肉のついた綺麗な細身の体も。  少し癖毛の柔らかい茶色の髪も。  頭の回転が早すぎて驚かされるところも。憎たらしいくらい口が上手くて、すぐに俺を丸め込んでしまうところも、くるくる変わる表情や、なんでもそつなくこなしてしまうところも。  強引に俺を捕まえるその細くて長い指も……。  嘘でも『好きだ』と幾度も言ってくれた、その唇が好きだった。  お前の抱えている大きな傷も。  欠けたピースを埋めてやりたかった……。  体なんか、いずれ飽きる。期限を決めなくても終わりなんて見えている。  こんなことをしていたってお前は救えない。  愛してくれる相手をどんなに探しても、お前は絶対に満足することはないし、幸せにはなれない。自分から愛さないとダメなんだ。    多分自分の子供を持った時に桐生は本当に救われるんじゃないか……と思う。  俺では無理なんだ。  でも、あと半年だけお前の手を離さないことを許して欲しい。  その時間を大事にするよ。  俺ではお前の傷は埋められないけど、俺にできることならなんでもしてやるから……。

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