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705day 2/14 ※R18

「今年は持って帰ってこなかったんですか?」  物好きなことに今年も自分宛に大量のチョコレートが会社に届いていた。けれど今年は家には持ち帰らず、出来るだけみんなにもらってもらい残ったものは全て会社で処分してきた。 「あぁ、お前にだけ買ってきたよ」  バレンタインチョコを買うなんて、これも最初で最後の経験だな。やっぱり良く解らなくてデパートで高価でシンプルなものを選んできた。 「おいしい。ありがとうございます」  嬉しそうに包みを解いてチョコを口に入れると桐生も包みを出してきて机に置いた。 「俺からも……」  自分で包みを開けると俺の前に差し出す。それを口に含むと薄いビターなチョコレートがすぐに割れて中のリキュールの香りが鼻に抜けた。美味しくて、苦くて、儚い味がする。 「ねぇ深森さん。あと1ヵ月ですね……」  チョコレートに合うからと桐生がブランデーをチョイスしてきた。濃厚な甘みと香りが良く合っている。 「そうだな」 「それだけですか?」 「それ以上何を言えって言うんだ?」 「いえ……別に」  桐生は不満そうに言葉を切った。  お前が言って欲しい言葉は多分解ってる。  だが、俺はそれを言う訳にはいかない。 「ね。寂しい?」 「ああ、そうだな……」  そんな言葉じゃ言い表せない。お前が望むように喚き散らして悲しむことも出来ないくらい寂しいよ。  お前と俺の想定する結末は違っている。そして俺はお前がどんなに喚き散らしても、その結末を絶対に譲らないと決めている。  ・・・・*・・・・*・・・・*・・・・ 「今日は目隠ししましょうか?」 「ちょ……」  有無を言わせず桐生は俺の視界を布で遮った。  肩を軽く押されてベットに倒される。 「視覚が遮られると、他の感覚が鋭くなるみたいですよ」  首元にふいに触られる感触がして、ビクリと体が跳ねた。  見えないと、いつ触られるか分からなくてビックリする。 「触ってるの俺じゃなかったりしてね……」 「お前!」 「冗談ですよ。深森さんの体、他のやつに触らせるわけないでしょ?」  そんなことある訳ないけど、見えないから怖い。 「見えなくても、俺の手だってわかるでしょ?」  言いながら頬に触り、そのまま首筋、胸に手を這わせてくる。  桐生の長くて細い指だと解るけれど……やっぱり怖い。 「キスしてくれ」 「ふふ。深森さん賢い。密着してたら確認できるもんね」  キスしながら桐生の腕を触り背中に手を回す。 「もっと俺のこと、ぎゅっとして」  しがみ付くと桐生が上機嫌な声を出した。首元を吸われてチクっと痛みが走る。次に何をされるか解らなくて、いつも以上に緊張する。 「頭の中の俺はどうですか? いやらしい顔してあなたを抱いてる?」  乳首を捏ねるように強く押される感触と、噛むように吸われる感触がする。 「ここすごい敏感で好きですよね。強めの方が好きみたい」  ……長い。ずっと触られている気がする……見えないと、時間感覚も狂ってくる気がした。 「……は……もう離してくれ」 「なんで? 気持ち良さそうなのに、下触らなくてもイけるんじゃないですか?」  見れないけど、自分の物が触られてもいないのにもう勃ち上がっているのが分かる……それを桐生が冷静に見ているのかと思うと恥ずかしくてどうしていいか解らなくなる。 「試してみましょうか?」  言うと桐生はジュ……と音を出して強く吸い付いた。片方は強く摘まれ痛いぐらいに抓られる。 「……ああ!」   「深森さんの乳首真っ赤ですよ。すっごく美味しい」  舌で舐めたり、強く噛んだりを繰り返す。  聞かせるようにわざと音を立てている。恥ずかしい。  気持ちいい。  射精したくて、触って欲しくて、腰が揺れてしまう。 「イきたい?」  出したい。幾度も頷いた。触って欲しい。桐生の手でイかせて欲しい。 「深森さん、エロくて可愛い」  早く、早く触ってくれ。 「……頼む」  強く噛まれた。  もう無理。 「ああーーー」 「触らないでもイけたね」    出たものを桐生の手が拭う。そのまま後ろに塗り込められると、グッと押される冷たい感触がした。 「……! お前何入れた?」 「なにってバイブです。大丈夫小さいのだから」 「取れ! 取れよ!」 「ダメ! ねぇ深森さん。俺を否定しないで。イヤとかヤダとか、そういう言葉、聞きたくない」  桐生の声が低くなり、不機嫌でイラついているのがわかった。 「あ……!」  中に入ったものが微かに振動し始める。弱い刺激だけれどジワジワと快感が湧き上がってくる。 「気持ちいい?」 「……あぁ。いいよ」  言われた通りに肯定する。 「俺が欲しい?」 「ああ、お前がいい。お前が欲しい」 「深森さん、優しい……大好き」 「あ……ああ!」  バイブが入ったままなのに、後ろから、桐生が入って来た。  苦しい……今までにないくらい奥まで押される感覚がする。 「どう? いつもより深い?」 「くるし……」 「苦しいだけ? 気持ちいいでしょ?」 「……いい……」 「俺も気持ちいい。振動ですっごい刺激される」  桐生が動く度バイブが奥を押してくる。  苦しい……気持ちいい……。 「あとどうして欲しい?」 「触って……」 「何に?」 「俺のに……」 「俺の何?」  桐生は楽しそうに聞いてくる。 「……ペニスに」 「良くできました」  耳元にキスされると、俺の物を触る感触がして、ゆっくりと上下に扱かれる。 「こっちもね」  また乳首も弄られる。 「入れながらここを触るとね。深森さん俺をぎゅうぎゅう締め付けてくるんだよ。すっごい気持ちいい……」  見えない分、いやらしい音と、桐生の荒い息づかいが、いつもより鮮明に生々しく聴こえる。 「も……無理」 「いいよ。何回でもイッて」 「……一緒がいい」 「可愛い……うん。じゃあ、一緒にね」  言うと俺のペニスをグッと握り射精を止め、そのまま桐生の腰の動きが激しくなる。中を擦られる感触と奥を押される感触が堪らなく気持ちいい……早く出したい……お前と一緒に……。 「は、あぁ…!」  桐生の吐き出すタイミングで手が外され同時に放った。足がガクガクと震えそのままベットに崩れ落ちる。 「さいこーー」  満足そうな桐生の声がして目隠しが外され、振り向くと桐生の顔がやっと見れた。 「好きだ」  縋りついて言うと蕩けるように嬉しそうな顔をする。  可愛い……愛しい……。 「愛してるよ」  もっと言わないと、もっともっと……。  あとひと月しか言えないから……。 

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