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第106話「気持ちの整理③」
「飲まされたあ〜っ」
「お尻の処女問題は自分でどうにかして」と碧星に吐き捨てられてから数分後、芽依が部屋に戻ってきた。
酒をたらふく飲まされたのか、顔を真っ赤にしている。
「、、よお」
「、、んー??」
芽依はうだうだと身体を揺らして部屋のドアを閉め、テーブルで延々と尻の穴について考えている鷹夜を不審な目で見つめ、テーブルの向かいにドスンと座った。
「どしたの?」
「んーと、、ちょっと話していい?」
「んー?」
碧星よりもズイ、と顔を近づけ、首を傾げる芽依。
ドキ、と胸が高鳴った。
やはり、顔立ちは一級品の男だ。
「芽依くんて俺と付き合ったとしてさあ」
「うん」
酔ってはいるものの、話しは出来る状態らしい。
芽依はふにゃっと微笑んで鷹夜の話しを聞いてくれる。
鷹夜は鷹夜で、こんな距離感すら、良いなあ、なんて考えてしまった。
「正直、挿れたいですか。挿れられたいですか」
「挿れたいです」
「ですよね」
即答されてときめきは一気に消え、鷹夜はガクッと肩を落とした。
「え?付き合うかどうか迷ってるのってそのせい?」
「いや、まあ、最後に残ってるのがこれだった」
その間ももちろん色々あったのだが、紐解いて行くと全部自分の心が決まれば何の障害にもならなかったのだ。
「んー、正直めちゃくちゃにしたいって思うけど、、鷹夜くんがどうしても嫌なら頑張るよ、尻」
「しり、、、」
「全然感じないんだけど、鷹夜くんも協力してくれるなら開発できるかもしれないし」
芽依が真っ赤な顔でぽわんとした表情のまま、中々に際どい話しが始まっている。
鷹夜はこんな事を芽依と話して良いのかも良くわからなかったが、解決しておきたい話題ではあった為、そのまま流されることにする。
「え、待って?何で尻の穴感じないって分かるの?」
「うんと〜、前に付き合ってた子で、男のアナル開発に目覚めちゃってる子がいてね。何回か穴に指入れられそうになったんだよね〜。全然入らなかったしマジで拒否ったけど」
「、、、ブフッ」
「おい笑うな」
恥ずかしがる事もなく芽依が平然とそんな事を言うものだから、鷹夜は緊張が解けて笑えてしまった。
女の子でも後ろの穴を狙う人がいる、と言うのも鷹夜にとっては初耳だ。
「鷹夜くんはいじられたことないの?」
「ねーよ」
「じゃあ、とりあえず怖いって感じ?」
「そう」
「それ以外に俺達のことで不安は?」
いつの間にか、テーブルに置いていた手が握られている。
「えーと、、、君と付き合ってそう言うことをするってなったとき、どっち側にしろ勃つかどうか分からん」
「あー、俺は余裕で勃起するけど鷹夜くんはわからないね、確かに」
(さっき勃ってたもんなあ)
そう言えば、とベッドでキスしたときに太ももに当たっていた生暖かい感触を思い出す。
(デカかったな)
あまり思い出さないようにしていたのだが、そう感じた。
「ものは試しじゃない?」
「え?」
「だって、そこクリアしたら付き合ってくれるんだよね?」
「いや、それ、、それ、いやじゃないの?セックスできなかったら付き合えないみたいな構え方だし」
「セックスレスで別れる夫婦もいる世の中で何言ってんの〜。できた方がいいに越したことはないよ!」
ギュッと両手を握られる。
絡められた指に力が込められ、手が引き剥がせない。
「あ、え、え??」
「鷹夜さんや」
「ま、待って下さいよ芽依さん!!だから心の準備がまったく!!大体今日初めてキスできたんだよ俺たちッ」
「この勢い、乗りたくない?」
「乗りたくないッ!!っん、!」
両手を握られているせいで逃げられなかった。
テーブルを器用に足と膝で退かした芽依がすぐそこに迫り、有無を言わさず鷹夜の唇を奪っていく。
「んっ、んっ!」
「っ、、ん、乗らないの?竹内メイのちんこ、タダで見れるよ?」
至近距離で竹内メイに見つめられると、流石に無理矢理にでも胸が高鳴らせられる。
抵抗虚しくキメ顔にドクンドクンとうるさくなった胸を無視して、鷹夜はキッと芽依を睨み上げた。
何故なら段々と芽依がこちらに覆い被さってきていて、カーペットの上に押し倒されているからだ。
「くッ!!みーなーくーてーいーいー!!!脱がすなってば!!」
風呂に入ってから履き替えていたスウェットのズボンに手が掛けられる。
「ちょっとだから。ちょっと」
「マジで!!付き合ってないんだからこういうのはなし!!」
「じゃあ今一瞬だけ付き合ってよ!!絶対気持ち良くする!!」
「馬鹿か!!」
バシンバシンと頭を叩きまくり、何が何でも抵抗しようと脚をバタつかせる。
けれどやはり20センチは大きい身体はびくともせず、何より鷹夜と違ってガッチリした筋肉のついた芽依の肉体が脚をバタつかせる程度で撤退していく訳がなかった。
「あ、」
とうとう背中がカーペットについてしまった。
顔の横に手をついて、また芽依に見下ろされている。
「め、芽依くん、、ホントに?」
「鷹夜くんが本当に嫌ならやめるよ。でも、もしそれだけで俺と付き合ってるの迷ってるなら、お互いここでハッキリさせない?」
「え」
「大事なことだもん。えっちできるかできないか」
「、、、」
セックスがしたいだとか、エッチなことがしてみたいだとか、そんな事だけで押し倒した訳ではないらしい。
芽依なりに、今抱えている鷹夜の不安を取り去りたいのだ。
「ちょっとにするから。鷹夜くんの実家だし」
「うっ、、」
自分の実家でこんな事をするなんて、日和と初体験を迎えたときよりドキドキしている。
彼女とは、両親が旅行に行っている最中に彼女の家でしたのだ。
この家でこう言った行為をする事も、自分の両親や兄妹に色々聞かれるかもしれないと言う状況を味わった事もない。
「どうしたい?」
芽依の瞳は完全に欲情した揺めきをしている。
「っ、、ちょっと、だけ、だからね」
鷹夜は、意を決して踏み込む事にした。
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