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第119話「先立つ努力」
(あとはゲイものAV見るか、、)
2日後にやっと会おうと言う話しが決まった日、それまで勉強してきた全ての事をこのクソ真面目男・鷹夜はツラツラと1冊のノートにまとめていた。
(できる限り感じる身体にしておかないと、アイツのことだから次に会ったら絶対尻まで触って来るだろうし、乳首のことでまたがっかりさせたら悪いから、)
忙しくて寝る時間が少なく、鷹夜は今週やたらと疲れている。
にも関わらず寝る前には必ず男同士のあれこれについて調べ倒していた。
無論、ブログで読み漁った乳首開発についてのトレーニングも欠かさずしてはいる。
だが、効果は得られていなかった。
(ちょっとくすぐったいと言うか、自分で触ってると気持ち悪くなって来るんだよなあ)
気持ち悪いと言うのは自分から見た自分がキモいどうこうではなく、普通に胸がムカムカしだして口の中に変な感触が溜まっていき、吐きそうになると言う意味だ。
ゲシュタルト崩壊に近いような、平衡感覚がなくなっていくような、そんな感じがし始めてしまうのだ。
「女の子みたいにって言っても、自分と女の子が結び付かな過ぎて全然イメージできなかったしなあ」
独り言を言いながら午前0時38分と表示されているテレビ画面の右上の角を眺め、鷹夜はひとり、ため息をついた。
そろそろ風呂に入って寝る支度をしてしまった方がいい。
面倒くさそうに立ち上がると湯沸かし器の電源を押し、パンツやら何やらを集めてベッドの上に置いた。
まだまだ暑さの残る9月、どうせ風呂から上がってもすぐに服は着ない。
バスタオルだけ持って浴室に入ると、ドアについているフックにタオルを掛けた。
が、フックとバスタオルのサイズが合わず、何度やってもズルッと下に落ちてしまう。
仕方なく、いつも通りトイレの蓋の上に置いてから着ているものを全部脱いだ。
「ふあっ」
あくびが止まらない。眠い。
浴室の中にある鏡に向かい、洗面台に手をついて、写っている自分とじっと見つめ合う。
これも自主トレだ、仕方ない。と、鷹夜は乳首に手を伸ばした。
「んー、、分からん」
くに、くに、と柔らかい乳首をゆっくりといじる。
指先の腹で優しく押し潰し、たまに引っ掻くように刺激する。
「っ、、馬鹿みたいとしか思えない」
チラ、と鏡の中の自分を見た。
確かに真っ赤な顔はしているが、それはこの行為自体が恥ずかしくて堪らないからであって、感じている訳ではない。
(あ、、う、後ろ触りながらとか、?)
思い立つと自然に鷹夜の右手は後ろに伸びる。
少し前屈みになって乳首をいじったまま、右手の中指でトン、と自分のその穴に触れた。
(あーもー、大体、結局俺が受け身になったし、、俺が芽依にちんこ入れるんじゃダメなのかよ)
クル、と押し付けた指を回すように擦った。
「ん、」
やはり舐めてもらうのとは違う。
あんなに気持ち良くもなく、背徳的と感じて燃え上がったりもしない。
ただ触った瞬間に、ここで感じたい、と言う気持ちは乳首よりも強く感じた。
「ん、ん、、ん」
わざと吐息たっぷりの声を漏らすと、浴室が何とも言えない空間になっていく。
自分の息遣いが反響し、返ってきて鼓膜を揺らし、脳に響く。
自分のオナニー動画でも見ているようだ。
「ん、ふ、」
穴の周りのひだをほぐすだけなら、何とかもどかしくて気持ちの良い感覚が少しだけ生まれる。
穴に指を入れようとすると身体が強張って快感が消えてしまうが、無理せず穴を擦るだけならこれはこれで良い。
「ん、、ぁ」
ただ、足りない、と言う想いが生まれた。
(もっとすごかったのに、芽依に、舐められたとき)
頭の中にあるあの夜の記憶が、もやもやと脳内で再生された。
尻の穴を芽依にじっと見られている感覚や、ねっとりと熱い舌で何度もほじられた感触は、1ヶ月も前の事なのにまだまだ薄れない。
(気持ち良かった、あれ、、また、されたい)
こう思っている時点で、鷹夜は絶対に芽依を抱けない。
抱かれる側に既に自分から立ってしまっているのだ。
「め、い、、」
コリコリと弄り回していた乳首が少し熱い。
くすぐったいと言う感覚から、ちょっとだけ進んだように思う。
(ちゃんと感じたら気持ちいいのかな、、すごい声とか、出るのか?AVみたいな、何か、乳首だけでイクとか、そう言う風に)
どんな声が出るんだろう。
芽依に穴を舐められたときも馬鹿みたいに高い声が出た。
あんなのよりもすごいのだろうか。
(どんな、)
鷹夜はそれを想像するだけでもう身体が疼くようになってしまっている。
あの日、あの一瞬だけ芽依に身体を好きなようにされただけで教え込まれたのだ。
芽依に触られると気持ち良くなる、と言う意識が。
そしてそれを思い出すだけで、彼が例え目の前にいなくても、鷹夜の身体は熱くなる。
「はあっ」
手を止めた。
いつの間にか勃起した性器を見下ろし、思わずそちらに手を伸ばす。
(5歳も歳下の恋人作って、しかも男で、俺が抱かれる側で、本当に何してんだ、俺)
ゆっくりと自分の性器を扱くと、熱い吐息が何度も口から溢れていった。
(芽依の目の前でオナニーしたとき、すごく、、良かった、なあ)
疲れと寝不足と、それから芽依に会えない日々。
鷹夜の中でそれらはきちんと整理されているようで実はされておらず、混じり合ってぐちゃぐちゃになって彼を追い詰めて来ていた。
(会いたい、、会いたいのに、疲れ過ぎて当たりそうになるし、向こうもイラついてるから会わない方がいいなって思ってしまう。でも、)
徐々に身体中の熱が扱いているそこに集まって来る。
立ってはいられず、ズルズルと壁に背中を預けて浴室の床に座り込むと、床は冷たく、尻がヒヤッとした。
「会いたいよ、芽依、、んっ」
堪らなく身体が疼く。
見下ろされたい、好きだと言われたい、真っ直ぐ見つめられたい。
キスが欲しい、舐めて欲しい。
(馬鹿だな、5歳も歳下にこんなに絆されて)
早く、君に会いたい。
こんな身体でも愛してくれるなら。
「あっ、ぅ、、んっ」
そんな風に思いながら、鷹夜は右手で肉棒を扱き続け、左手を後ろに回し穴をくにくにと指の腹で押して擦りながら自慰行為を続けた。
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