137 / 142
第137話「次行きましょう」
「明日仕事なのにこんな時間まで遊んじゃったな」
「必要だよこういうのは。大丈夫大丈夫〜」
(若いって良いなあ)
午前1時少し過ぎ。
芽依の家に帰って来た。
鷹夜ならばもう寝ないと流石に明日6時起きは無理だ。
そんな事は考えてもいないのだろう芽依は上機嫌に答えると、風呂場に歩いて行った。
鷹夜がリビングのテレビをつけると、深夜にグラドルや芸人が出ている少し大人な番組が始まっていた。
こう言ったものにあまり興味がないので他に回し、延々とどこかの海の水中の映像をBGM付きで流しているチャンネルにした。
「鷹夜くーん、おーふーろー」
「一緒に入ると長くなるから嫌だー」
「はあー?」
風呂場から響いて来た声に答えると、途端にドタドタと小走りで芽依がリビングに近づいて来る音がする。
「うわあ、来たあ」
鷹夜がそちらを向いて嫌そうに表情を歪ませると、芽依はムッとしていきなり前にかがみ込み、鷹夜のそばに来た瞬間に彼の腰を掴んで肩を差し込み、グン、と上に持ち上げた。
「やめろ落ちるッ!!」
「どうせ軽いから落としませーん」
「怖い怖い怖い!!」
米俵のように鷹夜を担いだ芽依はくるんと振り返ると、テレビをつけっぱで風呂場へと向かう。
腰に腕を回されてはいるものの不安定で身体が揺れるため、鷹夜はヒンヒンと弱音を吐いている。
「うるっさいなあ。ぶち込むぞ」
パァンッ!と、芽依の左手が鷹夜の尻を叩いた音がその場に響く。
「いやだぁあ!またのぼせる!!」
「今日はさっさと入ってさっさと出てベッドでえっちなことするから大丈夫」
「何も大丈夫じゃないねえな!!」
あの日以来、鷹夜は中に指を入れるのを微妙を避けて来ており、芽依はもんもんとしている。
そろそろもう一度、鷹夜の後ろの穴に指を入れたい。
できたら2本。
そんな事を思っている今日この頃である。
「鷹夜くんマジで」
「え?」
「今日だめ?指、入れたいんだけど」
後ろ向きに抱えられていて、鷹夜と芽依の視線は交わらない。
少し気まずそうな真剣な声に、鷹夜はゴク、と唾を飲むと小声でぶつくさと言った。
「別に、入れたいなら、いいんじゃないですか」
(照れてるなあ、、)
「聞こえないもう一回言って」
憎まれ口を叩くと、腰の辺りを殴られた。
「いたっ」
「2本まで!」
「はい!」
2人は照れ合いながらそそくさと風呂場に向かった。
「んー、、普通の体液みたいじゃない?」
「体液って言うなよ、、他の言い方知らんけど」
潤滑ゼリーをボトルから手の上に出し、芽依は手を握ったり開いたりして、あまり粘着質でもない、ちゃぷちゃぷ、と言う水音に鷹夜と耳を傾けていた。
「触り心地は?」
「結構サラサラ、、初心者用買ったんだけど、大丈夫かな」
「こないだお前の唾液でもいけたし大丈夫じゃないの、、あ、ほんとだあんまりベタベタしない」
「ね」
風呂から出て髪を乾かし合って、ここのところ忙しくて気合いを入れて挑めていなかった「えっちなこと」に2人は向き合おうとしていた。
お互いに緊張は良くないと言う事になり、まずは使うもののチェックから始めた訳だが、1番最初に開けた潤滑ゼリーの時点で2人ともやたらと真剣に話し合ってしまっている。
どちらとも、怖いだとか緊張だとかはない。
ただ単に男の子の持つ性への好奇心が優って、初めて触る潤滑ゼリーに興味津々なのだ。
「こう言うのって口入れて平気なの?」
「んー、、あ、大丈夫って書いてある」
「非常食じゃん、、」
「これを非常食にしない人生を送りたいわ、、あ。一応食べ物ではないけどとも書いてあるから飲むのはやめて」
芽依はボトルの裏とパッケージの裏を読み、うんうんと唸っている。
鷹夜はそんな姿を見て、「ああ、ちゃんと考えてくれてるんだなあ」とベッドに倒れて彼を見上げた。
「鷹夜くんも読もうよ」
2人とも既にパンツしか身に付けてない。
「芽依が読んでんだからいいだろ」
「2人で知っていきたいのに〜」
「じゃあ貸して」
芽依の手にあったそれをヒョイと取ると、鷹夜はボトルの裏の使い方の欄の小さな文字を見つめる。
(乾きやすい為、その都度足してご使用下さい。あ、洗い流さなくてもいいんだ。便利〜)
ふむふむ、と読み込んでいると、不安になったのか芽依がうつ伏せに寝転がっている鷹夜の上にのし、と上半身を乗せた。
「なに」
「鷹夜くんに触りたい」
不安ではなく、欲情していたらしい。
「ん、、はい、どうぞ」
「おお。今日は覚悟が決まってますな」
「俺だって欲求不満ではあるんだよ」
「ふふ、、そう言うことちゃんと教えてくれるの嬉しい」
「あっそ、、ん、」
ちゅ、と飲みに行く前ぶりに唇が重なった。
「ん、、んふ、んっ」
絡み合う舌についていけず、鷹夜は下手くそな息継ぎをする。
芽依は「大丈夫だよ」とでも言うように鷹夜の左手を掴み、仰向けに転がった彼と指を絡めて手を繋いだ。
見下ろす先の熱のこもった視線をした鷹夜が久しぶりで、すぐさま脚の間が熱くなってくるのを感じる。
(んー、久々にヤる気になってくれた。可愛い。こう言うときちゃんとオオカミっぽくなるの堪んない)
いくら尻に入れられる側と言っても鷹夜は男だ。
性的な事をするとなっても、相手を求めてばかりの受け身な顔ではなく、応戦的な気の強い表情をするのだ。
芽依はそれがたまらなく好きで、毎度「格好いいなあ」と感じている。
ただ芽依が好きなのはその表情をぐずぐずに崩して泣かせる事なので、鷹夜は何とも不憫だった。
「ん、好きだよ、鷹夜くん。最高に可愛い」
「うるさい、、お前の方が可愛いよ。キメ顔でちんこ勃たせて歳上の男に乗っかってんだから」
「ぅあっ」
ぐに、と芽依の下にいる鷹夜が膝を持ち上げて彼の股間を弄る。
予想外の行動に驚き、突然の刺激に耐えられなかった芽依は表情を歪めて鷹夜を見下ろした。
「何すんの」
「早く使おうよ、これ」
先程まで手の上にあったゼリーは既に乾いてしまっている。
鷹夜が煽るように指でつまんで中身をちゃぽちゃぽと揺らして見せつけて来たそのボトルを受け取り、芽依はニコ、と紳士的に笑う。
「その前に鷹夜くんの準備する」
「え、んむっ」
再び唇が重なると、ぢゅうっと音を立てて舌が吸われ、鷹夜は久々のその感覚に腰を跳ねさせた。
「あっ、、?」
ボトルは一旦鷹夜の肩の隣、シーツの上に置かれ、キスをしたまま、芽依は彼の小さな胸の突起に手を伸ばす。
「んふぅっ」
指先でピンっと左の乳首をはじくと、焦ったように鷹夜の手が芽依の肩に置かれて引き離そうと押してくる。
体重をかけてそれを阻止すると、彼の反応をじっくりと見ながら、芽依は乳首をくにくにとこねたりはじいたり、カリカリと擦って遊んだ。
「んっ!んんっ!、、ん、ふはっ、んっ!あっ、嫌だ、ジンジンする、嫌だこれ」
乳首がいじられるたびに甘ったるい痺れが下半身に走っていき、鷹夜は思わず脚を閉じた。
勃起したそれが一瞬太ももに引っかかったのが分かる。
色違いで買っておいた先程と同じ柄の蛍光ピンクのラインが入ったボクサーパンツは、股間の上のハートマークが勃起した性器に押し上げられて歪んでいる。
「あはっ、えっちだね鷹夜くん。見える?ちんぽのとこのハートマーク、こんなに苦しそうだよ」
トン、トン、とハートマークが突かれた。
「あ、触んなっ、んっ、芽依っ」
「可愛い。本当に可愛い。何でそんなに可愛いの。好きだよ。好き過ぎて辛い」
「あっ、擦んなよ、あっあっ、芽依、あっ」
乳首から手を離し、芽依はパンツの中で勃ち上がっている鷹夜の性器の先端を撫でるようにゆっくりと指先で擦っている。
徐々に先走った液体が漏れ始め、ピンク色のハートが部分的に変色していく。
「鷹夜くん出て来ちゃったよ、我慢汁」
「あっくっ、あっ、、さ、われ、よ」
「ん?どこ?ここ?」
「あぅっ」
きゅっと亀頭を摘まれ、ビクンッと腰が揺れた。
物欲しそうな鷹夜の表情に、芽依はハア、と興奮した吐息を漏らした。
ともだちにシェアしよう!