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月曜日
携帯の着信音が鳴っている。
レオは目を覚ました。
あれ?俺昨日シノブの所・・・ってか、なんでベッド?
「もしもし?あ、親父?」
「お〜いレオ。お前今朝家にいないのか?マンションまで来てインターホン鳴らしてんのに。女の家か〜?」
「いやいや、ってか親父鍵は?」
「忘れた。偶然通り掛かったから寄ってみただけ。お前の家に荷物置いてこうかと思って」
「あ〜、悪い親父。今シノブん家。昨日泊めてもらったから」
「お?懐かしいね〜。シノブ、元気か?」
「うん。多分」
「は?お前シノブといるんじゃねえの?」
「いや、いたんだけど、もう出かけてるみたいだわ」
「おう、そうか。シノブに迷惑かけんじゃねえぞ。よろしく言っといてくれな〜」
「分かった。じゃあな。親父」
そう言って電話を切った。
時間は朝の9時半。確かにシノブのマンションにいる。が、もうシノブは出かけたようだった。リビングのコーヒーテーブルの上にコンビニのサンドイッチとコーヒーと、メモと鍵が置いてあった。
ーレオへー
用があるから先に家を出ます。鍵はドアの所の新聞受けから部屋に落としてくれたらいいから。サンドイッチとコーヒー良かったら食べて。コンビニのだけど。よく寝てるから起こさずに行きます。学校サボるなよ〜。
シノブー
なんともシノブらしいメモ書きだ。綺麗な字で書いてある。レオは一通り顔を洗い、サンドイッチとコーヒーを飲み、メモ書きの裏に走り書きで『サンキュー』とだけ書いた。寝室の毛布を軽く畳む。ソファーで寝たはずの自分が、ベッドで目が覚めた事実に改めて気がついた。
「俺なんかやらかしてないよな・・・」
今頃になって焦り出した。ふと目に寝室のゴミ箱が目に入った。
「え?まじ?」
ゴミ箱の中には、赤い血がついたティッシュがまあまあな量、入っている。ますます焦せる。
「俺まじで何かやらかしてる?」
でも自分の体から出血の後は見られない。ますます混乱していくレオだった。
その日の夕方、シノブは酒屋に寄ってコーヒーリキュールを買った。
昨日の夢に出てきた、コーヒー味のガムのことを思い出していた。もう、あのガムは滅多に見なくなってしまっている。前、バーのマスターがブランデーとコーヒーリキュールを合わせた
カクテルがあると教えてくれた。だからそれを作って飲んでみようと思ったのだ。
マンションに帰る。オートロックを開け、玄関のドアを開けた。
「シノブ!」
え?まだレオがいる。
「あれ?レオ君月曜は学校じゃなかったの?」
「あ〜、え〜っと、学校だったけど休講だって友達から連絡回ってきたから、お前が帰ってくんの待ってた」
「え?そうなの?大丈夫?今日の予定あったんじゃないの?」
「それは大丈夫なんだけど。俺どうしても気になって・・・」
「何が?」
「いや〜、ほら、俺何か昨日やらかしてないか気になって・・・お前の寝室で起きたし、ゴミ箱に血のついたティッシュが入ってるし・・・何かしでかしたなら、謝らねーとと思って」
「ぷっ。はははは。大丈夫だよ。やらかしてはいないよ」
「え?でも血がついてる・・・」
「あ〜、あれね。僕が鼻血出したの」
「鼻血・・・。でも俺お前のベッドで寝てた」
「それも、昨夜トイレに行った後、寝ぼけて僕の寝室に入ってきて、グースカ寝たよ」
「マジか〜。俺お前に何もしてない?」
「大丈夫だって、何もしてないよ。ほら、僕元気でしょ?」
「お、おう・・」
「ほんとに大丈夫だから」
そうシノブは言って、笑ってみせた。内心、本当はドキドキしていた。
「レオ君、今日も泊まる?」
「いや、流石に二連ちゃんはダメだろ。明日学校朝早いし」
「そうなの?僕は気にしないけど。まあ、またいつでも会いに来てよ。バイトのない日なら、一人だし。また僕の部屋で飲もう。お酒も手に入るし」
「分かった。また、じゃあ近いうちに必ずな」
「必ずだよ。一応、バイトは基本、火曜、木曜、土曜だから」
「分かった。火、木、土な。それ以外の日にラインする」
そう言って、レオは帰って行った。シノブは玄関のドアが閉まるのを見届けて、顔を洗いに洗面に走った。
「何で僕、こんなにドキドキしてるの?」
鏡に映る自分の顔が赤く紅潮しているのを見ていた。
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