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日曜日 夕方

シノブとレオは二人連れ立って、ラーメン屋に行こうとしていた。マンションの下まで降りた所でシノブの母親と会った。 「あら、シノブ!どこ行くの?」 「あ、お母さん。ちょっとお腹減ったからラーメン食べに・・・」 「ラーメン?珍しいのね・・・あら?ひょっとして、レオ君?」 「おばさん、ご無沙汰してます」 「レオ君ちょっと見ない間にだいぶ大きくなったのね。見違えたわ」 「そうですか・・?」 「高校卒業して以来だから3年ぶりかしらね」 「そうですね。それ位です。今週飲み会があって久しぶりにシノブに連絡して泊めて貰いました」 「あら、そうなの?シノブ、良かったじゃない。ずっとレオ君のこと気にしてたものね」 「お母さん、やめてよ」 「あら、恥ずかしがっちゃって。ラーメン屋さん、行ってらっしゃい。私は荷物を取ったら、またすぐ行かなきゃいけないから。レオ君シノブとまた仲良くしてやってね」 そう言うと、エレベーターに乗って上がっていった。 懐かしい外観のそのラーメン屋は、高校時代に通っていた時と何も変わらずそこにあった。 北公園の西側の大通り沿い。もうそこに20年ほどある老舗のラーメン屋で、入り口にかかっている暖簾は日に焼けて色がくすんでいる。デカデカとラーメンと書かれたその暖簾をくぐると店内には数人の客が既にいた。カウンター10席。テーブル席は四人掛けが3つ。昔よく座っていたカウンターの端に、二人は座った。メニューは全く変わっていない。ラーメンが3種類と、チャーハンに餃子。それだけしか置いていない店で、大盛りに50円でしてくれる。お腹を減らした男子高校生にはもってこいの店だった。 「シノブ、今日はラーメン食べるんだよな?普通のでいいのか?」 「うん。普通のラーメン。あ!チャーシュー追加で」 「今日はどうやら、お腹がペコペコみたいだな。じゃあ。俺もそれにしよう」 そう言うと、レオは店員さんに注文をしてくれた。 「ほんと、久しぶりだね。このラーメン屋さん。全く変わってない」 ふふふっとシノブは微笑むと、レオの前に置かれた水差しから水を二つ注いだ。 「あ、わりい。ありがとな」 そう言ってレオは水を受け取る。レオは高校時分に戻った様な気がしてシノブを見つめた。 ラーメンも食べ終えた頃、二人の客が入ってきた。 レオが振り返ると入り口にはガタイのいい男と見慣れた女が立っていた。レオが先週別れたばかりのリエだ。レオはリエに気がついたが、リエはレオに気がついていない。二人はそのままテーブル席に座った。 「は〜お腹いっぱい。レオ君帰ろ〜」 シノブがかわいい顔でレオにそう言った。 「ここは僕の奢りね」 そうシノブが言って、お会計を済ませようとする。 「え?シノブ、俺も払うよ」 「いいの。昨日迷惑かけて、迎えにまできてもらったし。これはそのお礼」 そう言って聞かない。根負けしてレオはシノブの言うとおりにした。入り口で立ってシノブを待っていると、テーブル席のリエと目が合った。 ”あっ!” と言う顔をリエがしたが、すぐに視線を逸らした。レオは不思議となんとも思わなかった。つい10日くらい前に振られたのに・・・・ 「レオ君、お待たせ」 そう言ってシノブがレオの腕を取った。背中を向けて、シノブとレオが出ていくのをリエは目の端で見送った。 ラーメン屋を出ると、あたりはすっかり暗くなっていた。レオとシノブは北公園の中を手を繋いで歩いている。この時間の公園はもうあまり人通りがない。シノブがレオの手を握ってきたのを、レオはそのままにしている。シノブと手を繋いで歩くなんて、今までしたことがなかった。レオは改めて思った。 ”俺、シノブのことほんとに好きだ。あんなに好きだったリエの顔を見ても、もうなんとも思わない。それよりシノブを揶揄った先輩の存在の方が気になる。シノブの事、掴んでおかないと” そう思っていたからか、思わず力を入れてシノブの手を握ってしまったみたいだった。 「レオ君、手痛いよ・・・」 はっとして、手の力を抜いた。 「ごめん。考え事してた・・・」 「うん。大丈夫、どうしたの?お腹痛いとか?」 そんなことを言いながら、レオの顔を覗き込んでくる。可愛い奴だ。 「ううん、お腹は痛くないよ」 そう言って思わず笑う。 「もう!なんかバカにした!」 「違うって。お腹痛いとか、子供かって!思ったら笑えた」 「んーーーー!!」 そう言って、シノブは口を尖らせている。そんなシノブを見て、また可愛いと思う。 「シノブ、今日の昼も言ったけど、俺、お前の事好きだから。それはもう友達っていうか・・・それ以上で・・・。だから付き合って欲しい。俺の恋人になって欲しい。今答えくれなくてもいいから、本気で考えて」 そう言いながら、シノブを抱き寄せた。 「レオ君・・・・」 そう言ってシノブはレオの胸で幸せな気持ちになっていた。 「結局、レコーディング出来なかったな」 「うん。ごめんね。僕がお願いしたのに・・・」 「でも必要なんだろ?俺は今度の水曜なら休講になってるから時間あるけど・・?」 「うん。じゃあ、水曜の夕方4時は?僕もその時間なら大丈夫」 「わかった。じゃあ、水曜の4時にな」 そんな会話をしながらマンションの下に着いた。 「あ!シノブ君!」 声をかけてきた方を振り返る。芳樹がマンションから出てきた所だった。 シノブは咄嗟にレオの腕を掴んで少し後退りした。 「シノブ?どうした?」 レオは体を硬らせているシノブの様子が気になった。 「シノブ君、一昨日はどうも!レコーディングは出来たの?」 そう言って近づいてくる。シノブの体がますます硬直している。 「いいえ。まだ録音できてません。でも大丈夫です」 そう小さな声でシノブが言った。 「そっか。あれから練習してる?セクシーな声。ちゃんとあれ見て練習しなきゃだよ」 そこまでの会話で、レオにもわかった。 ”こいつか!シノブの先輩声優って!前同じマンションに住んでるって言ってた奴!あのキスマークつけた犯人!” レオは頭に血が上っていくのがわかった。その様子にシノブも気が付く。咄嗟にレオの手を引っ張った。 「レオ君、大丈夫だから」 そう言われては、レオにはこれ以上どうしようもない。 「また、何か困った事あったら、いつでもうちに来てねー」 芳樹はそう言って、手をひらひらさせて駅の方に歩いて行った。 ”嫌になっちゃうよねー。シノブ君彼氏いるじゃん!俺バカみたい。あんなに睨まれたら何もできないっての!” そうぶつぶつ言いながら、芳樹は駅に向かった。 レオとシノブはマンションの部屋に戻ってきた。さっきの男の言葉が頭から離れない。 ”セクシーな声の練習” レオはあの男とシノブが同じマンションに住んでいる事実が心配でどうしようもなくなっていた。 「レオ君、今日も泊れる?」 シノブが聞いてくる。 「泊まってほしい?」 「うん。明日早かったらいいけど・・・できれば・・・」 「わかった。明日の朝7時には出るけど。それまでなら大丈夫」 「ほんと?!じゃあ、それまで一緒にいようね」 レオはそう言って自分に見せるシノブの笑顔にまた絆されている自分を自覚した。 「レオ君、そればっかりぃぃ」 寝室でシノブの甘い声が響く。 「シノブはセクシーな声出す練習しなくちゃだろ?」 「そうだけどおぉぉ。そんなにおっぱい吸っちゃやあぁぁ」 そんな抵抗は虚しく、レオはシノブの可愛らしい乳首を吸い続ける。 「レオ君、もうぅぅ下触ってぇぇぇ」 「シノブ・・・そんなに煽るなって・・・」 そう言ってレオはシノブの股間を弄る。もう既に二人とも興奮して、それはヌルヌルとした液を垂らしている。2本のそれをレオの大きな手で握って、擦る。 「はあぁぁんんっっ。気持ちいいよぉぉぉ」 シノブがレオに縋ってくる。 「シノブ、俺、もうイキそう・・・」 「レオ君ぼくもぉぉぉぉ」 二人は一緒に果てた。 レオはシノブの頭を優しく撫でている。 「レオ君、僕たち二人でいたらずっとこれしちゃうね」 可愛く笑ってシノブがレオの胸をぺろっと舐める。 「お前、ほんと小悪魔だな・・・参るよほんと・・・」  「レオ君、今度、何枚か服持ってきてよ。このままじゃあ何枚服が合っても足りない・・・」 「ふふふ・・・。そうだな。何枚か持ってくるよ」 「うん。そしたら、もっと会えるでしょ?」 「そうだな・・・」 そんな会話をしながら二人は眠った。

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