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火曜日 その1
レオは大学の中庭でまた昼寝をしていた。ここ10日ほどで起こった変化を頭の中で整理していた。シノブのことが好きだと言うことは既にもう嫌になるくらい自覚していた。夢の中にもシノブが出てくる。そして、シノブを考えるだけで自分の性的な衝動が抑えられなくなる・・・。これはもう重症だ。
でもこのままではまだシノブを守れない。なんと言っても、あの”小鹿”で”小悪魔”な鈍感なシノブだ。中学から一番近くで見てきてはいたが、この3年ですっかり仕上がっている。しかも同じマンションには、シノブにちょっかいを出す先輩も住んでいる。本当は近くで見守って、自分の檻の中に入れておきたいくらいだ。でもそんなこと学生の自分にはまだできるわけない。収入すら、たまのアルバイトで得ている。将来の夢もまだぼんやりしている。自分はどこに向かって走るべきなのかを考えあぐねているのが現状だ。
「レオく〜ん!元気??」
昼寝をしている自分を上から覗き込む人がいる。先輩のあさみさんだ。
「レオ君また悩んでるの??」
そう言われて、レオは体を起こした。
「いや〜この前の悩みは解決したんですけど・・・」
「新たな悩みってこと?青春だね〜」
「おちょくらないでくださいよー。こっちは真剣なんですから!」
「ごめんごめん。で今回は?どんなお悩みで?」
興味津々で覗き込んでくる。
「んーー。簡単に言うと、好きな人を守るにはどうすればいいか・・・?」
「そこまでわかってるなら、簡単じゃない!」
「え?そうですか?」
「お金でしょ!お金があれば、その手の悩みはたいてい解決するって!」
「はあ・・・お金ですよね・・・やっぱり・・・」
「そりゃそうでしょ!バイトでもなんでもして、お金稼いだら少しは解決に近づくでしょ!」
「それは確かにそうなんですけど・・・」
「何ウジウジしてるの!好きな人を守るんでしょ?でも、その好きな人は守られたいって思ってるの?」
「え?いやー、それは・・・俺がそう思ってるっていうか・・・」
「じゃあ、少なくとも金の亡者的な彼女じゃないのね?」
「はい・・・そんな奴じゃないです」
「それを聞いて安心したーはははっ!」
「それって、先週言ってたモヤモヤが解決してー・・・の次の悩みよね?」
このあさみ先輩はなかなか鋭い。
女ってこんな感じなのかと感心してしまう。
「じゃあ、まだ時間あるんだから、自分の未来をじっくり考えるべきじゃないの?同じ歳くらいなの?彼女は?」
「はい・・・同じ歳です」
「じゃあ、まだ時間あるし。レオ君、将来は?ミュージシャンは目指さないの?お父さん、プロのミュージシャンでしょ?」
「え・・・ミュージシャン・・・たまに親父のスタジオで声入れたり手伝いはしてますけど・・・」
「じゃあそれを極めてみるとか??せっかくそんな環境にいるんだから、お父さんに相談してみたらいいじゃない」
「はあ・・・まあ、親父は相談には乗ってくれるとは思うんですが・・・」
「他にしたいことあるの?」
「いえ、特には・・・音響とかは興味ありますけど・・・」
「じゃあ、どちらにせよ、お父さんの世界じゃない!そんな時は大人に相談したら?」
「あさみ先輩、結構色々考えてるんですね・・・」
「ははっっ!何それ!考えてるよ!私だってもうすぐ卒業だし、就職内定もらえたし・・・」
「そうですね。あさみ先輩4回生でした・・・すみません。生意気言いました」
「わかればよろしい!」
あさみはそう言って、レオの肩を叩いた。
「ちなみに、悩んでる時間がもったいないよ!彼女を守りたいなら、早くしなきゃね!」
「そうですね!俺、親父に相談してみます!」
レオはそう言うと、あさみに一礼した。
「レオ君、頑張れよ〜!」
後ろからあさみの声がする。
レオは嬉しかった。
”親父、今日はスタジオ?仕事終わりにたまには飯でも行かない?”
レオは自分の部屋に帰る途中で父親にラインをした。
しばらくたって、既読マークがつく。
”おう。飯か?いいぞ。たまにはお前も打ち上げこい!
今日は新人バンドのGreen Eyesのアルバム完成打ち上げだから、19時にスタジオの近くの涼風亭に来いよ。お前がこの前コーラス入れたバンドだから、気兼ねなく参加できるからな”
レオは
”了解。19時に涼風亭に行きます”
そう返信した。
待ち合わせまで時間がまだ3時間ある。
シノブの声が聞きたくなって、部屋に戻って電話してみた。
「もしもし?レオ君?どうしたの?」
優しいシノブの声が聞こえる。
「いや、特に用があるわけじゃないんだけど、声が聞きたかったから・・・」
「ふふ・・。そっか。僕も声聞きたかった」
「シノブは今家?」
「うん、家で明日とるセリフの練習してた」
「ああ、そっか。俺も今家。今夜親父と久しぶりに飯行ってくるわ」
「うんそっか。おじさんにもよろしく伝えてね」
「うん言っとく」
「レオ君、ちょうどいいから、電話越しに僕のセリフ聞いてくれない?」
「おお。いいよ。どんなセリフなんだ?」
「ん〜っと、走れメロスの朗読と、あとは適当なセリフ」
「この前言ってたセクシーなのは?」
「ん〜。セクシーなの難しくって・・・」
「難しいから練習するんだろ?今家なら一人だろ?」
「うん・・・」
「この前のAV思い出して。シノブのセクシーな声聞かせて」
「んん・・・恥ずかしい・・・」
「そんなこと言ってたら、本当にそう言う役が回ってきた時に困るだろ?」
「・・うん・・・じゃあ、笑わない?」
「笑わないよ。もう俺お前の声で勃ってるし・・・」
「え・・・ほんと?」
「ほんと・・・。シノブも自分の体触って。乳首から・・・」
「ふうっっっん・・・」
シノブの小さな吐息が漏れた。
「どこ触ってるの?」
レオが囁く。
「僕のおっぱい・・・」
「乳首を摘んで」
「はあぁぁんっっん。これジンジンするぅぅ」
「我慢して、気持ちよくなるから・・・」
レオは自分でもびっくりするくらい、卑猥なことを言っていると思うと、ますます興奮が止まらない。
「レオ君、もう下触ってもいい・・・?」
シノブが可愛く囁く。
「しょうがないね、シノブは我慢できないみたいだから、触っていいよ」
「はあぁぁんっっっ。気持ちいいぃぃ」
「シノブ、どこ触ってるか教えて・・・」
「いやあぁぁ。恥ずかしいぃぃ」
「言わないとわからないよ。電話なんだから・・・」
「う・・・ん・・・。僕の・・・おちん・・ちん・・・」
「いい子だねぇ。よく言えました。」
「レオ君はどこ触ってるのぉぉ?」
「俺も同じとこ触ってるよ。もうずっと興奮してる・・・」
「ずるいぃぃぃ。レオ君は言わないのぉぉぉ」
「言わない。その代わりいっぱい好きって言ったげるから。シノブ、好きだよ。好き。大好き」
「はぁぁんっっ。それもっと言ってぇぇ」
シノブの息が上がった。
「レオ君、僕もう我慢できないぃぃぃ」
「しょうがないなぁぁ。じゃあ、一緒にイこうか・・・」
「うんっっふぁぁ。はぁぁぁん。いくぅぅっ」
その声を聞いてレオは同時に自分の精液を放った。
ひとしきり電話で睦みあったあと、二人はまだ電話を切れずにいた。
「レオ君、明日の約束忘れてない?」
「覚えてるよ。ちゃんと覚えてる。明日の夕方4時だろ?」
「うん。夕方4時にレオ君の家に行くよ」
「駅まで迎えに行くから、家を出るときに連絡くれよ」
「うん」
「シノブは今日はバイト?」
「うん。7時からだから、もう少ししたら行くよ」
「そっか、じゃあ、俺もそろそろ準備して、親父のとこ行ってくるよ」
「うん。レオ君、明日会えるの楽しみにしてる」
「俺も・・・酒、飲みすぎるなよ!」
「もうっっ!大丈夫だよ!ふふ」
「じゃあな」
「うん。じゃあね。行ってらっしゃい」
名残惜しい気持ちのまま、レオは電話を切った。
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