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水曜日 その2
夕方4時前に、シノブからラインが入ってきた。
”レオ君、今から北公園駅出ます。多分15分くらいで着くかな”
”了解。駅の南改札で待ってて”
そうメッセージを返す。キャラクターが”は〜い”と言って手を挙げているスタンプが送られてきた。
「ほんとかわいい・・・」
部屋を少しだけ整えて、レオは最寄り駅まで迎えに行った。
「レオくーん」
駅の改札を出てくるシノブが見えた。
今日もかわいい・・・。
そんな事を考えると、自ずと笑顔になる。
「ごめんねー。待った?」
「大丈夫、今来たとこだよ」
「レオ君お酒飲みだから、甘いのよりこっちの方が好きかと思って、これ買ってきた」
手にはKFCの袋を下げている。
「お!いいね。最近食べてなかったわ。あとで食べようぜ」
「うん。レオ君ち着いたら食べよ」
そう言いながら二人はレオの家に向かって歩き出した。
レオの家は駅から5分くらいの大通りから少し入ったところにある。5階建てのマンションだ。エレベーターはなく、階段だ。その3階の角部屋がレオの部屋だ。一人暮らし用のマンションのため、基本の間取りはワンルームか1Kだ。レオの部屋は大きめのワンルームの間取りになっている。
「お邪魔しまーす」
シノブが小さな声でいう。
「狭いけど、まあ、ゆっくりして」
部屋の隅にはセミダブルのベッドが置いてある。その反対側の隅には宅録ができるように、デスクに録音機器。その横の壁に沿ってテレビが並んでいた。
「ソファーないけど、そこらへんに適当に座って」
「うん。なんかレオ君の部屋、思ってた通り」
「え?そう?」
「シンプルな部屋だろうなーと思ってたけど、その通りだから」
「まあ、この部屋にあるのは機材とベッドとテレビって感じだもんな。自炊もしねーし」
「そんなもんだよ。僕だって、学生の時にはあんなキッチンなのに、ほとんど自炊してなかったもん」
「そうだよな。はははは」
「シノブは、何飲む?コーヒー?お茶?」
「うんと、僕はお茶がいいかな。KFC食べるでしょ?」
「おう、食べようぜ」
テレビの前の絨毯の上に座ってシノブはそわそわしている。
「何?落ち着かない?」
「んっと、そう言うわけじゃないけど・・・」
「じゃあ、このグラスそっちに持っていって」
そう告げるとシノブが流しのところまできた。
「手洗ってもいい?」
「ああ、ここでいいよ。洗って」
「タオルある?」
「はいこれ」
手を拭く用のタオルを渡す。グラスを二つ両手に持って、テレビの前に座る。
「テーブル狭くてごめんな」
「大丈夫だよー。早く食べよ!」
ちょこんと座ったシノブがこちらを見ている。
”可愛すぎる・・・。落ち着け俺!”
二人で並んでKFCを食べる。
「久しぶりに食べたけど、美味しいねー」
シノブが満面の笑みでレオに顔を向ける。口は油でテカテカに光っている。
「うまいな。俺も久しぶりに食べた」
そう言いながら視線を逸らす。
「ビスケットも買ってきたからねー」
そう言いながら指を舐めている。
”あーーやばいなこれ。まだ夕方四時だっての。
我慢しろ俺!!今日はレコーディング!!”
そう思いながらレオも自分の指を舐めた。
「レオ君、まずは走れメロスから取りたいんだ」
「うんわかった、少し照明暗くする?集中したほうがいいなら」
「うん、少しだけできる?」
カーテンを閉める。
もう外はだいぶ薄暗くなっていたが、レオの部屋は遮光カーテンのため、締め切るとだいぶ暗い。レオの父親がたまに昼間にこの部屋で寝ていくからだ。ベッドサイドに置いている間接照明をつける。ムードが出る照明だ。
「暗すぎない?ちゃんと字読める?」
「うん。大丈夫。僕目だけはいいから」
「じゃあ、そのマイクに向かって喋ってみて」
「はーい。マイクのテスト。マイクのテスト・・・・・・」
ヘッドホン越しにシノブの声が聞こえる。コンデンサーマイクを使っているため、繊細な音まで拾う。舌の動きまでわかりそうだ。
「うん、これくらいで大丈夫だな。シノブのヘッドホンは大きすぎない?」
「うん、大丈夫。なんだか緊張するー。こうやって録音するの久しぶりだから」
「そっか、大丈夫。ここには俺しかいないし、間違えても何回も録り直しできるし」
「うん。わかった。じゃあ、レオ君お願いします」
そう言うとシノブは集中して、静かに太宰治の『走れメロス』を朗読し始めた。
レオは目を瞑ってその声をヘッドホンで聴いている。シノブの声は中性的で、綺麗な声だ。自分の男っぽい声とは違う。3分くらい朗読をしたところで、シノブに肩を叩かれた。
「レオ君、もう大丈夫だよ。3分くらいでいいから」
その言葉もマイクを通して聞こえている。目を開けて、RECボタンを止める。
「リプレイ聞く?」
「うん、一応確認する」
今録音したものを再生する。目を閉じて二人で集中して聞く。大丈夫そうだ。
「これでいいよ。たいてい、一回目が一番いいテイクになるから」
「ははは。それはどこでも一緒なんだな。コーラス録りでもそうだから」
「やっぱり??」
そう言うとシノブはヘッドホンを外した。レオはそのまま簡単な編集をする。長さと音量の調節をして、それをファイルとして書き出す。
「シノブ、次に録るのは何?セリフ?」
「うん。一応6パターンの声色で一言ずつ入れたい」
「わかった。ちょっと待ってね。あ。水とか欲しかったら、勝手に冷蔵庫開けて飲んで」
「うんありがと」
シノブはそう言って、冷蔵庫から水を取り出し、コップへと注いでいる。
「シノブ、準備できたら、こっちはいつでも大丈夫」
「わかったー。僕も大丈夫。チャッっちゃと録っちゃおう」
そう言うとまたヘッドホンをしてマイクの前に座った。
「マイクのテスト。マイクのテスト」
「Take1。吉田シノブ、5歳です。
僕は男の子。好きなものはカレーです」
「Take2。吉田シノブ、13歳です。
中学一年生の男子です。
最近テニスを始めました」
「Take3。吉田シノブ、20歳です。
成人式を迎えたばかりです。
初めての彼女ができました」
「Take4。吉田シノブ、40歳です。
嫁とは結婚して10年。
子供もだいぶ大きくなりました」
「Take5。吉田シノブ、60歳です。
会社も退職です。
最近孫が産まれて、人生充実しています」
「Take6。吉田シノブ。
80歳のおじいちゃんです。いい人生でした」
声色を少しずつ変えてシノブが喋る。
少しの沈黙が流れる。レオはシノブの方をチラッとみた。
「吉田シノブ、もうすぐ21歳になります。
僕はレオ君のことが好きです。
この前告白してくれたこと、忘れません。
お付き合い、まだ僕でよかったら・・・・・
レオ君僕から離れないで、付き合って!!」
そうシノブはマイクに向かって言うと、レオに抱きついてきた。レオはびっくりして、そのままシノブにキスをした。ヘッドホンを外し、シノブを抱き寄せる。そのまま二人はベッドへなだれこんだ。
「シノブ、ありがとう。俺、絶対離れないから」
「うん。レオ君、僕から離れないでね。レオ君好き。大好き・・・」
「俺も好きだよ。シノブ・・・」
二人はそのままさっきまで押さえていた衝動を解き放った。
「シノブ、苦しくない?痛くない?」
「はあんっっ。レオ君そこいやあぁぁ。なんかくる〜ぅぅ」
「ここ好きだろ?こうやって触られるの・・・んんっ」
「ちくびもジンジンするぅぅ」
レオはシノブの乳首を指で摘んでいる。口ではシノブの中心を咥えて擦っている。
「はあぁぁん、気持ちいいよぉぉぉ。溶けちゃうぅぅぅ」
「どこが気持ちいいか言ってごらん、シノブ」
「全部気持ちいいぃぃ」
「全部じゃわからないよ。どこ??」
「僕のおちんちん・・・溶けるぅぅぅ」
「よくできました。そろそろイキたいだろ?いいよ。イっていいよ」
「ああっっぁぁぁん。いくぅぅっ」
そう言うとレオの口の中に盛大に放った。
シノブの四肢が跳ねる。
「ああぁぁ。かわいいなぁシノブ・・・。お前はほんと俺を狂わす・・・」
「レオ君も気持ちよくなってぇぇぇ」
そう言うとシノブはレオの大きくそそり立っているものを口に含んだ。
「ばか!シノブっっ。やばいってそれ・・・」
「レオ君も気持ちよくなってぇぇぇ」
どこで覚えてきたんだか、すっかりエロい。
「シノブもう俺を煽るなってぇぇ」
「煽ってないいよぉぉ。気持ちよくなって欲しいだけぇぇ」
そう言いながらシノブはレオのそれに手を添えて、強く擦る。
「ああ!!シノブ俺ももうイク・・・」
そう言うとシノブの口の中に放った。
「レオ君のおいしいぃぃぃ」
そう言って飲んだのであろう、それの残りを口の端からヨダレのように垂らしている。
「シノブ、もう俺、やばい・・・もう絶対お前を離さないからな」
そう言うと強くシノブを抱き寄せた。二人はそのまま裸で眠った。
1時間ほどして、レオは目が覚めた。少し肌寒く感じたからだ。部屋のエアコンを入れる。もう10月になっている為、たまに冷える日がある。トイレに立って、さっきのシノブの告白を思い出す。大胆なことをしたものだ。シノブは昔からそんなところがある。大人しいキャラかと思えば、誰もが思わない様なことをいきなりする。さっきの告白をもう一度聞きたくなって、録音機器の前に座った。まだ、録音されている状態だった。
”あ、停止ボタン押してない”
今の録音は全てデジタル化されている。先頭に戻して、必要なところを切り取る。まずは最初のtake6までの部分。そして、その後の、告白のパート。この部分は、俺だけのものだ。そして、その後のパートを聴いてみる。
「はあぁぁん・・・レオ君そこいやぁぁ」
さっきの自分たちの行為がそのまま録音されている。これも別で取っておこうと思うレオだった。
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