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第二章・3
「じゃあ、今度は僕が宮崎さんに質問してもいいですか?」
「どうぞ」
「宮崎さんのパートナーは、どんな方ですか?」
「え、っと。あの……」
即答しない心路に、研悟はしまったと感じた。
気軽に訊ねたつもりだったが、訳ありだったらしい。
「あ、無理には訊きません。じゃあ、好きなスウィーツは?」
「いえ、私のパートナーは、α男性です。関先生と、同じ」
「うらやましいな。宮崎さんみたいな素敵な方と一緒だなんて」
そこで心路は、瞼を伏せて首を横に振った。
「他所に恋人ができちゃって。今、家に帰らないんです」
研悟は、頭を抱えたくなった。
不用意な質問をした自分を、恥じた。
「すみません。家庭内のことを興味本位に訊いたりして」
「いいえ。彩人があんな子ですので、いつかはお話ししようと思っていましたから」
少し離れた小さなソファで絵を描いていた彩人が、顔を上げた。
心路の方を見て、笑顔を見せた。
「絵が、完成したみたいです」
「どれどれ?」
二人は、彩人の元へ歩んだ。
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