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第三章 独りじゃない
研悟は、絵画教室が休みの日に彩人と心路を特別に見るようになった。
それだけではない。
アトリエから飛び出して、外の空気を彩人に触れさせた。
「彩人くん、今日は海へ遊びに行こう!」
「……絵を描くんじゃないの?」
「描きたくなったら、描いてもいいよ」
「描きたくなかったら?
「そりゃあ、描かなくてもいいさ」
さ、行こう!
多機能なキャンピングカーを駆って、三人は大自然へと飛び出した。
夏日とはいえ、まだ冷たい海の水を彩人と研悟はかけ合った。
「ぅえ。しょっぱい。海の水って、こんなに辛いの?」
「海中で目を開けると、シミて大変だぞ」
研悟はスイムウェアに着替えた彩人に、ゴーグルとフィンを与えた。
これで泳ぐと、最高に気分がいいのだ。
「今、魚がいた」
「彩人くん、魚と一緒に泳いでいたぞ」
もう一度、一緒に泳ぐ。
そう言って、彩人は再び潜って行った。
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