18 / 70
第三章・4
泳ぎ疲れて、満腹になって。
彩人は、キャンピングカーのベッドでお昼寝だ。
研悟と心路は、お茶の時間を楽しんでいた。
「本当にすみません。何から何まで」
「僕のためでもあるんです。気にしないでください」
「先生のため、ですか?」
「両親を亡くして、寂しくて。狂ったように絵を描いて。何とか画家になれましたが、今でも寂しいままなんです」
だから、僕は彩人くんに甘えているんです。
そう、研悟は打ち明けた。
「あの子に夢中になっている間は、寂しさが紛れるんです」
「そうでしたか……」
「それから、宮崎さんも。あなたの笑顔は、とても素敵だ。ぜひ、モデルになってください」
「え? あ、はい。私で良ければ、喜んで」
少し頬を赤らめ、心路はうなずいた。
「じゃあ、さっそく今からでも!」
「え!」
何て行動力のある人だろう!
(ついて行くのが、やっとみたい)
でも、こうやって彼のモデルになるのは悪くない気持ちだ。
時折、二人の目が合う。
すると研悟は、笑顔をくれる。
幸せな時間を、心路は久々に味わっていた。
ともだちにシェアしよう!