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第三章・4

 泳ぎ疲れて、満腹になって。  彩人は、キャンピングカーのベッドでお昼寝だ。  研悟と心路は、お茶の時間を楽しんでいた。 「本当にすみません。何から何まで」 「僕のためでもあるんです。気にしないでください」 「先生のため、ですか?」 「両親を亡くして、寂しくて。狂ったように絵を描いて。何とか画家になれましたが、今でも寂しいままなんです」  だから、僕は彩人くんに甘えているんです。  そう、研悟は打ち明けた。 「あの子に夢中になっている間は、寂しさが紛れるんです」 「そうでしたか……」 「それから、宮崎さんも。あなたの笑顔は、とても素敵だ。ぜひ、モデルになってください」 「え? あ、はい。私で良ければ、喜んで」  少し頬を赤らめ、心路はうなずいた。 「じゃあ、さっそく今からでも!」 「え!」  何て行動力のある人だろう! (ついて行くのが、やっとみたい)  でも、こうやって彼のモデルになるのは悪くない気持ちだ。  時折、二人の目が合う。  すると研悟は、笑顔をくれる。  幸せな時間を、心路は久々に味わっていた。

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