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第四章・2
頂上に登ったところで、待ちに待ったお昼ご飯だ。
「今日も腕を振るいましたよ!」
三段重ねの重箱には、おむすびやら卵焼きやら、タコさんウインナーやら!
「おむすびの中身は、なに?」
「全部違うぞ。食べるまでのお楽しみだ!」
夢中でおむすびを頬張る彩人を見て、心路は驚いていた。
(いつもは食が細いのに。それに、好き嫌いもなく何でも食べるなんて!)
あっという間に、三人でぺろりと重箱三段を平らげてしまった。
「少し、お昼寝してもいい?」
「いいよ。今日は車が無いからシートの上だけど、構わないかい?」
「ん、平気」
ころんとレジャーシートの上に転がった彩人の体に、心路は上着を掛けてやった。
草の匂い、木漏れ日、そよ吹く風。
その心地よさに、彩人はすぐに寝息を立て始めた。
「よく歩いたので、疲れたんでしょうね」
「運動は苦手な子なのに、がんばりました」
二人は微笑ましく彼を見た後、描画の準備を始めた。
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