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第四章・4

「いけませんか?」 「いえ、でも、その」  心路の胸には、薄情なパートナーが現れていた。  感情に乏しい彩人を、可愛げのない子だと罵った男。  しまいには、俺の子じゃないと言い出した男。  新しい恋人の元に走り、連絡も寄こさない男。  あんな男に、もう義理立てする必要はないのではないか? (私だって、幸せを掴みたい)  今、現に幸せなのだ。  彩人がいて、関先生がいる。  それだけで、胸がぽうっと温かくなる。  自分の気持ちに整理をつけ、心路は研悟に返事をした。 「私と付き合って、くださいますか?」 「ありがとう。ありがとう、宮崎さん!」  立ち上がり、研悟は心路に駆け寄った。  手を取り、情熱的なまなざしで彼を見た。 「心路さん、と呼んでも?」 「……はい」 「僕のことも名前で呼んでください。先生、なんて堅苦しいことは言わないで」 「じゃあ、……研悟さん」  研悟の心が、震えた。  喜びに、乱れた。

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