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第六章・5

「彩人くんは?」 「大丈夫。ぐっすり眠ってます」  身体を拭き清め、乱れたパジャマを直して、心路は彩人の寝顔を見つめた。 (ごめんね、彩人。寝ている隣で、エッチなことしちゃったよ)  彼の前髪を撫で揚げ、額に手を当てる。  穏やかで、満ち足りた気持ちだ。 「心路さん、そろそろ寝よう」 「そうですね。朝寝坊しちゃいそう」 「朝食は任せて、彩人くんくらい寝坊しちゃってもいいよ」 「お言葉に甘えちゃおうかな」  心路は、もう気づいていた。  自分に対する研悟の言葉遣いが、ずっと砕けたものになっていることに。 (でも、その方が嬉しい)  身体だけでなく、心もぐっと近づいたようだ。 「研悟さん、真ん中に寝てもらえますか?」 「いびつな川の字になっちゃうな」  それでも研悟は、彩人と心路の間に入って横になった。  心路が、その腕にすがりついてくる。  研悟はもう片方の手で、彩人の手を握った。  二人を繋いで、三人で一つになった心地がした。

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