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第六章・7
「彩人くん、これをコンクールに出品してもいいかい?」
研悟は、確かな自信を持っていた。
これは、審査員を唸らせるに足る傑作だ!
「彩人くんの絵を、ミナカミ製薬の『こども文学賞』に出品するよ」
「文学なのに、絵ですか?」
心路の問いに、研悟は笑顔で答えた。
「その『絵画部門』に、出そうと思ってるんだ。子どもたちの夢を彩る絵をテーマに、絵本の原画となるような作品を募集しているらしい」
研悟の胸は、夢と希望に膨らんでいた。
「うまくいけば、彩人くんの絵が本になるかもしれない」
「研悟先生、落選した時に凹むから、妄想もほどほどにしておきなよ」
そんなクールな彩人を、研悟は勢いよく肩車した。
「よいしょおッ!」
「うわぁ!」
「絶対うまくいく! 副賞は100万円だぞ!? 彩人くん、絵本作家の仲間入りだぞぉ!」
「あはは! 高い、高ぁい! 楽しい!」
じゃれ合う彩人と研悟は、本当の親子に見える。
その光景を見ながら、心路は幸せを噛みしめていた。
(研悟さんに出会えて、本当に良かった)
そして、一つの賭けを自分に課していた。
(もし、本当に彩人の作品が入賞したら。その時は)
その時は、結婚を前提としたお付き合いをさせて欲しいと願うつもりだった。
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