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第七章・5

 心路さんの、パートナー。  家を飛び出したきり、2年も連絡を寄こさない無責任な男。  研悟は、凌也をそんな風に見ていた。 「会うのかい?」 「はい」 「なぜ?」  研悟の心臓は、きりきりと緊張していた。 (まさか、よりを戻すつもりじゃ……)  だが、心路の返事は違っていた。 「私から連絡したんです。きちんと離婚したい、って」 「心路さん」 「研悟さんとこうしてお付き合いしているのに、ずるずるとパートナーでい続けることは誠実じゃないと思って。それで」  ありがとう、と研悟は心路の手を取った。  でも、と不安そうな顔になったが。 「大丈夫かい? 一人で会っても」 「私だって、大人ですよ? 平気です。でも、彩人は心配だから」  凌也の彩人への暴言や暴力が、心路には最も避けたいところだった。

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