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第七章・6

 彩人の様子を見て来ます、と心路は応接室を出て行ったが、研悟は腕組みをしたままその場から動かなかった。 (彩人くんへの暴力が心配だ、と言ってたが)  息子に暴力をふるうような男なら、平気でパートナーにも手をあげるだろう。  自分より弱い人間に暴力をふるう男は、研悟の嫌いなタイプだ。 (心路さんがひどい言葉を浴びせられたり、殴られたりするのを黙認なんかできない)  研悟もまた、来週に向けて忙しく頭を働かせ始めた。 「研悟先生、絵が描けたよ」 「お、おぅ。彩人くん、今日は石膏像を描いたんだな」 「おもしろかった」 「それは良かった」  真っ白い石膏像が、彩人の手にかかるとカラフルな民族衣装をまとったような姿になる。  この子の感性は本当にすごいものだ、と感心しながらも、研悟は彩人に提案した。 「彩人くん、明後日は学校がお休みだったね?」 「うん。創立記念日」 「じゃあ、パパと一緒に僕の家にお泊りしないか?」 「いいの?」 「喜んで」  心路は、驚いた。  預かってもらうのは、金曜日のはずなのに。

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