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第八章 僕が傍にいるから

「研悟先生、ズルい!」 「ふふふ。策士と呼んで欲しいな」  トランプだけではなく、ゲームでも彩人は研悟に惨敗していた。  ぷぅと膨れた顔をして、対戦表に印をつける。 「あ~あ。また、僕の負け」  普通、大人は子どもに手加減しないかなぁ、と言う彩人に、研悟は涼しい顔だ。 「彩人くんは、僕がわざと負けたら嬉しいかい?」 「全然」 「だったら、やっぱりガチンコ勝負だよ」  もう一戦いくか、というところで、心路がバスルームから出てきた。 「彩人、お風呂いただきなさい」 「はい」  彩人が素直に心路の言うことをきいたのは、研悟と一緒にお風呂に入る約束をしていたからだ。 「先生、一緒に入ろう」 「うん、行こう」 「研悟さん、すみません」 「誰かと一緒にお風呂に入るなんて、久しぶりだよ。ワクワクするよ」  脱衣所で服を脱ぎ、素裸になってしまうと、彩人が目を見張って研悟の体を観察してきた。

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