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第八章・4
抱き合い、キスをしながら、研悟は切れ切れに言った。
子ども部屋も、あるんだ。
空き部屋は、まだあるので。
心路さんの、プライベートルームになる。
だから。
「だから、ここへ。僕の家へ越して来ないか?」
「研悟さん……!」
心路は、胸がいっぱいになった。
おそらく、凌也さんが来ると聞いて、思いついたに違いない。
「素敵な提案です。でも」
「でも?」
今は、何も考えたくないんです。
心路の舌は、研悟の咥内で大きくひらめいた。
「心路さん」
夢中で、熱い濡れたキスを交わした。
(心路さん、心路さん、心路さん!)
胸の内で名前を叫びながら、研悟は心路の体に唇を、舌をさまよわせた。
美しい、白い肌。
出産していながら、崩れていないプロポーション。
「う、ぁんッ! あ、あぁ、はぁ。あぁあ!」
心路の可愛い声を聞きながら、研悟はくやしさと切なさが入り混じった思いを抱いていた。
ピンクの乳首も、円い乳輪も、柔らかな脇も、華奢な鎖骨も。
(全部、俺の知らないあの男が拓いたものなんだ)
それを思うと、滅茶苦茶にしたくなる。
自分の色に、染め直したくなってくる。
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